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●2018年8月某日/地の果て青森竜飛崎2018年編

  • 2018/12/15 17:56
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2018年夏、最果ての地、青森県竜飛崎を目指す
恒例の東北旅は山中の異質な雰囲気の小屋からスタート。
薄暗い裸電球、湯花が浸食し腐りかけた板。
硫黄臭に包まれたひなびた湯治場で老人に囲まれ一夜を明かす。

photo:Canon eos7d 15-85mm

古ぼけた窓からは見えるのは緑に包まれた東北の山地。地熱の暖かみを背中に感じつつ色あせたゴザの上に寝転び続けた。
硫黄臭が漂う時の流れが止まったかのような空間は東北地方、秋田岩手の県境付近にあるひなびた湯治宿。
雰囲気、低価格、温泉の質、全てにおいて気に入りの場所なのだ。宿泊料金の安さに惹かれ初めて泊まったのは90年代の終わり、あれから20年あまり経過したがいつ利用してもひなびた雰囲気は当時とほとんど変わる事がない。

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湯治場の標高は1,200mほど、猛暑となった真夏の下界が嘘のような涼しさに包まれた山中。
「小屋」「バラック」という表現がぴったりな平屋に敷かれた古びたゴザに雑魚寝。床下からの地熱を身体に受け止め、持ち込んだ本を読み続けた。気が向いたらタオル片手に離れの温泉棟へと歩き流れ込む湯に浸かる。その繰り返しで時が過ぎて行く。あまりの居心地の良さに駄目人間になりそうだ。

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ここでは自炊となる。平屋に隣接する古びた自炊棟には長期湯治中の方が持ち込んだ食材が無造作に転がっている。通電はしているものの冷蔵庫のような便利なものはない。代わりに豊富に流れ込む冷えきった湧き水が天然の冷蔵庫となっており、名札と紐づけた食材を冷水へ沈めそれぞれ保管する仕組みとなっている。

裏山から噴出する温泉の熱湯で茹でた黒い卵の差し入れを受けながら簡素な自炊をすませているうちに日が暮れた。





湯治場の夜は早い。今回この小屋に滞在中の客は湯が身体に非常に効くため長期滞在中だという地元の老夫婦だけ。日暮れとともに布団を広げ始めた老夫婦の迷惑にならないようこちらも借りた毛布を広げ夜7時過ぎには就寝。まるで山小屋の暮らし。裸電球を消灯すると山中の小屋は闇に包まれた。冷え込む山の夜、背中の暖かさが心地よい。いや熱い。



十和田湖。湖自体は初めてではないが、地図によれば湖畔に廃校らしきものがあるようなので湯治場を離れ向かってみる。断続的に雨が降る山中を走り続け湖面を見下ろす峠を越えると雨雲が切れ日差しに包まれた。

十和田湖1808towadako01.jpg

鋭く落ち込む緑の断崖の底にはその深さを想像させる濃紺の青。季節、天候のよって訪れる度、さまざまな色の湖面を見せてくれる十和田湖の湖畔を走り廃校付近へ到着。昨年田沢湖の湖畔で見かけた雰囲気の良い木造校舎を期待していたが現れたのは真新しい建物だった。

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十和田湖1808towadako03.jpg

建物には十和田ふるさとセンターと書かれておりどうやら廃校となった小学校跡地に新しく作られた施設のようだ。外観だけを眺め再び雲の下へと戻った。最終目的地である青森県竜飛崎にむけて北上再開。



道中、いくつかの場所に立ち寄りながら、偶然立ち寄った採石場見学会が非常によかった、青森県を形作る二つの半島のひとつ、西側の津軽半島付け根へ入った。津軽半島の先端に今回の旅の目的地、竜飛崎がある。
竜飛崎へのアクセスは二つの方法がある。カーナビでも指示される最も一般的なルートは陸奥湾沿いに北上、青函トンネル建設時に敷設されたあじさいロードと名付けられたバイパス路を使用するのもの。しかし自分は必ず西岸道を利用する。多少距離はあろうとも竜飛崎灯台を目にする瞬間の感動はこちらが遥かに劇的だ。

青森ツーリングマップ1808aomorimap.jpg

北海道のような平野が続く広域農道、断崖下を走る海沿いの道、そして山岳道路と変化に富んだ津軽半島西海岸道。
北上を続けるにつれ行く手は次第に濃霧に包まれた。ほとんど視界も効かない津軽半島先端の山道を走り続ける。やがてたれ込めた霧が切れると視界が開け青い海、そして緑の丘陵が彼方に見えた。

青森県竜飛崎灯台1808tappizaki04.jpg

津軽半島先端はこの場所で断崖と共に切れ落ちている。
海に突き出た緑の草原にポツンと建つ小さな白い建物が竜飛崎灯台、その先には光が射し込む濃紺の津軽海峡、そして北海道。

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竜飛崎1808tappizaki01.jpg

15時、ようやくのことで先ほど見えた白い灯台に到達。竜飛崎周辺に特に何か目的のものがある訳ではないがここ5年ほど、夏はこの岬を目指し走る事が恒例行事となっている。

北の果て竜飛崎と書いたものの正確には本州最北端は対岸にある下北半島大間崎となる。
この大間崎、北海道函館へ最も安く渡る事ができる最安航路の港を有するため何度も訪れたことがある。しかし大間崎は住宅地の外れに位置する平坦な岬のため最北端とはいうには雰囲気が少々物足りない。それに比べ断崖、草原、無人の原野が広がるこちら、津軽半島竜飛崎の方が秘境感、最果て感は遥かに高く感じる。



到着した夏の竜飛崎は賑わっていた。込み合う駐車場から観光客に混じり坂道を登り、先端へ。見下ろすと濃紺の津軽海峡を挟み積乱雲の下、昨年久しぶりに上陸できた北海道の緑の大地が手に届きそうな距離に見えた。

竜飛崎の定番アングルといえば灯台から北海道を望む光景が有名だが少し離れた津軽半島西岸を望む裏側もおすすめ。日本海側からの風と波が長い年月をかけ風化させた断崖が入り組んだ地形が午後の斜光を浴び立体的に浮かび上がる。地形に沿って続く道、電柱。大自然というよりもある程度人の手が入った光景に旅情を感じるのはなぜだろう。竜飛崎から一歩足を伸ばせばこのような風景を見る事ができるというのにこちら側へ足を伸ばす観光客は皆無。


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今年も竜飛崎裏側にあるキャンプ場に宿泊。
見渡す限り草原と海。周囲に一軒の民家も見当たらない秘境感溢れる立地が魅力の海際のキャンプ場。草原の中続く道を下り海辺のキャンプ場へ到着。磯で遊んだり、岩場を探検したりするうちに日が傾き長かった夏の1日が終わる。
東北とはいえ2018年の夏は暑かった。夕暮れとともに海風が吹き込みようやく涼しくなってきた。


竜飛崎シーサイドパーク1808tappizaki010.jpg


夜。前回は満月のため星はほとんど見る事ができなかった。しかし今夜は新月とのこと。これは満天の星を期待できるはず。
夜も更けた時間帯、外に出て海際に立つ。しかしに夜の海は予想外の灯りに包まれていた。

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煌煌と夜空を照らす灯りの正体は水平線の密集する無数のいか釣り漁船。人工衛星にも写るという集魚灯の強さによって星もほとんど写す撮る事ができず竜飛崎の夜は更けて行った。

[続く]
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