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●2010年8月某日/北進計画、夏.03〜夏の東北大陸を走る〜

  • 2011/05/27 17:36
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2010年夏、東北をひたすら走り続け目的地もないままに到着した7年ぶりの北海道。
無計画ながらいよいよ広大な大地を走り出そうとした矢先、
接近した台風に追われるよう北海道を脱出、本州へ避難するはめに。
結局北海道滞在はわずか三日間、津軽海峡を渡り再び東北の地を踏んだ。


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photo:Canon eos7d 15-85mm

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●08:35
北海道美幌峠に建つ道の駅。今朝も車で目が覚める。もぞもぞとシュラフからはい出し、ぼんやりとした頭で周囲の様子をうかがうも目に入るのは真っ白な世界。薄まったとはいえ、車中泊していた美幌峠は相変わらず霧に覆われていた。

かねてから懸念材料、それは北上する台風の存在。狭い車内で寝転んだまま携帯を開きチェックすると台風は日本海を経て北海道へと近づきつつある。勢力自体はさほど強くないとはいえ問題は本州と北海道を隔てる津軽海峡。万が一青函フェリーが欠航になってしまえば北海道に缶詰となってしまう。
行き当たりばったりなこの旅で唯一の準備が函館-大間間のフェリー予約。盆期間の込み具合を見越して行っていた帰路の予約日はまだ先の金曜日、予報円によれば台風が北海道を直撃するのも同じ金曜日。



こうなったら一日も早い北海道脱出。眠い頭をフル回転させ即座に手を打ち始める。電話予約受付開始を待ってフェリー会社に予約変更の電話をかけるものの皆同じ事を考えているのか何度掛けても話し中で一向に繋がらない。間を開けながら掛け続け、明日早朝の函館発に空きがあることが判明、即座に予約となった。いつもの大間ではなく青森行きとなってしまうものの、とにかくこれで台風上陸前に北海道から脱出できる。
とはいえ現在地は北海道の東の果て、美幌峠。ここから南端の函館は想像以上に遠く今日は移動のみの1日となりそうだ。宿も目的地もない無計画な旅だがこんな時、臨機応変に対応できるのが取り柄でもある。

函館フェリーターミナルナッチャンWorld1008hokkaido0218.jpg


●20:10
美幌峠、阿寒湖、足寄。山中に現れるいくつかの廃校に立ち寄ったが悪天候に写真を撮る気も起こらず車からも降りず。広大な北海道を走り続けようやくのことで函館港へ到着。フェリーターミナルの片隅に車を停めるといつものように車中泊の準備。周囲には同じように車中泊中と思われる車がちらほら見受けられる。
寝るのには少し早いので埠頭まで歩き夜の函館フェリーターミナルを見学。以前に比べ見違えるようにきれいになったターミナルに驚かされた。最後にこのターミナルを訪れたのは7年前の2003年6月のこと。奇しくもその日は東日本フェリーが会社更生法適応を受けた日だった。

消滅した東日本フェリーに変わり津軽海峡フェリーとなったターミナル。燃料高騰のため、使い道もなく埠頭片隅に停泊したままの高速フェリー「ナッチャンWorld」の姿はどこか寂しげにみえる。水平線に目をやれば夜空に低く立ちこめた暗雲が函館の夜景や漁船の灯火を反射し幻想的な光景を作り出す。
北海道最後の夜はこうして終わった。


函館フェリーターミナル1008hokkaido0219.jpg
函館フェリーターミナル1008hokkaido0221.jpg



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●05:50
函館フェリーターミナルで目が覚める。車中泊していた車から起き出し空を見上げると台風の影響で今にも降り出しそうな空模様。風も吹き始めている。昨日、チケットを掴むことができた北海道脱出フェリーは午前7時に青森港に向けて出航する。結局北海道で過ごしたのはわずか三日間、道中の方が遥かに長い不思議な旅。



●13:30
青森県、十和田市。2年前に開館したばかりの十和田現代美術館。相変わらず予定もないので降りしきる雨の中、以前から訪れたかったこの美術館を訪れた。ロン・ミュエクももちろん良いがマリール・ノイデッカーが森をそのまま固めてしまったジオラマには驚かされた。この技法を使えば廃墟となった部屋も作品にしてしまえるのかもしれない。

青森県、十和田現代美術館1008hokkaido0222.jpg
青森県、十和田現代美術館1008hokkaido0224.jpg
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●14:30
現代美術館の駐車場に停めた車内で東北地図を眺めていると有名な蔦温泉は近くにあることを知る。
近くと言っても美術館からは30kmは離れてはいるものの昨日まで広大な北海道を走り回ってきた身からすればたいした距離でもない。ぜひ入湯したいと八甲田の山道を上り続けていくと雨に煙る森に蔦温泉の古びた建物が現れた。古びた木造建築は雨がよく似合う。

蔦温泉1008hokkaido0226.jpg
蔦温泉1008hokkaido0225.jpg


温泉自体もすばらしく浴槽下から湧き出る温かい源泉に連日の車中泊によって疲労した体が次第にほぐされていく。知名度の高さ故、混雑を覚悟して訪れた蔦温泉だったが意外にもこの時間、入湯する日帰り客は誰一人としておらず雰囲気ある浴場写真を撮ることができた。


●15:50
温泉からあがると気になるのは台風の進路。カーラジオによれば日本海を東進中の台風はこれから向かう秋田県へ上陸寸前というではないか。これは台風観測の絶好の機会とばかりスピードを速め秋田へと南下を続ける。空を覆う灰色の乱層雲は台風の渦に沿って南から北へと激しく流れ、本降り小降りの間隔が次第に短くなっていく。台風中心へと近付いている証拠。とはいえ勢力は弱いため台風眼などはとうてい期待できそうもない。


●18:30
豪雨の中、秋田県の五城目という町で田んぼの真ん中で光り輝く巨大なイオンが現れた。台風を迎え撃つ今夜の山場に備え食材を調達すべくびずぶ濡れになって店内へと入る。半額弁当や水を買い込み店外へと出ると思いがけず雨はぴたりとおさまっていた。濡れた駐車場に立ち夜空を見上げれば流れる雲の切れ間から星の姿。なんという弱い台風。失望しつつも明日は間違いなく台風一過であろう。



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●06:00
秋田市、由利本荘日本海の海際に建つ象潟の道の駅。車中泊から目覚めると窓から射し込むさわやかな朝の光、ではなくどこか薄暗い雰囲気。昨夜台風は東北を通過、今日は朝から台風一過の好天のはず。しかし見上げた空は厚い雲に覆われている。予想を外してしまったと思いながら昨夜買った朝飯を食べていると日本海側から天候は急速に回復。
先ほどまで上空に残っていたのが昨夜通過した台風の外側の雲だったと思われる。台風の境界線が手に取るようにわかるようでおもしろい。

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東側を振り返れば大きく裾野を広げる姿が印象的な鳥海山の姿。昔、登った事もあるこの山、広大な山麓を大きく回り込むよう東へと進む。

鳥海山1008hokkaido0231.jpg
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●13:20
秋田県湯沢市。深い山中を延々と走っていくと緑の森が突如噴気が吹き出る白い世界へと変化する。7年ぶりに立ち寄った川原下地獄。噴気のためか草木も生えないまるで月世界のような不思議な空間を歩き回る事ができるおもしろい場所。ところが今回訪れてみるとかつて自由に出入りできた場所のほとんどが有毒ガス発生中と書かれた看板と共に閉鎖され残念ながら外から地獄を眺めただけに終わってしまった。

川原下地獄1008hokkaido0234.jpg
川原下地獄1008hokkaido0235.jpg
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秋田、山形、真っ白な積雲がポカポカと浮かぶ東北大陸をひたすら南下していく。夏の東北の旅を強く印象づけるのは青々とどこまでも続く広大な田園。


●15:15
内陸部から再び日本海に出ようと最上川沿いを南下中、道路脇に「幻想の森」と書かれた看板が現れた。怪しげなネーミングながら看板は国土交通省が設置する正規標識。国家お墨付きの「幻想」とは一体何なのだろう。一旦はこの場所を通過したもののやはり気になりUターン、看板の指す細い脇道へと入った。
道はやがてダート林道へと変わる。昨日東北を通過したばかりの台風の影響で荒れ果てた林道を水を跳ね上げながら登って行くこと15分あまり、行く手に「幻想の森」と書かれた看板が再び現れた。





車から降り見渡すと周囲は一見なんて事のないただの森。しかし森へ足を踏み入れると見たこともない形状の杉の巨木が立ち並んでいた。いずれもねじ曲がり、あるいは巻き付いた巨木が不思議な世界を作りだしている。「幻想の森」とは巨杉が作り出した群生地のことだった。


山形県戸沢村幻想の森1008hokkaido0237.jpg
山形県戸沢村幻想の森1008hokkaido0239.jpg
山形県戸沢村幻想の森1008hokkaido0240.jpg



●17:30
なかなか面白かった幻想の森を抜け出し日本海へ出た。
携帯の渋滞情報を見ると東北道上り線はお盆の帰省客によるUターン渋滞で真っ赤に染まっている。
そんな修羅場を尻目に山形〜新潟と日本海沿いの国道をのんびりとを南下していく。首都圏を大きく迂回する日本海ルートは移動距離自体は長いもののストレスがたまるだけの渋滞に比べれば快適だ。右手には西日できらめく大海原。
やがて太陽は日本海に沈み長かった夏の一日は終わりを告げた。

[了]

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