●2010年9月、11月某日/長野県廃校徘徊
- 2011/08/17 19:23
- Category: 廃校

長野県の深い山間部に点在する小さな集落。
そのような場所には廃校となった木造校舎が残されていることが多い。
2010年夏と秋、久しぶりに行った廃校探索をまとめて掲載。
photo:Canon eos7d 15-85mm
※本記事は訪問時のものです。現在の状況は異なっている可能性もあります。
長野県の廃校/夏編
緑に覆われた山間部を走る一本の古びた国道。登っては下り二つ目の峠にさしかかった頃、片隅に立つ看板が目に入った。徐行しながら近づくと看板には災害通行止めと書かれた文字。迂回路は1時間ほど前に通過した町まで下る必要があり予定ルートに復帰したのは昼過ぎになってから。廃校が残るという場所はここからさらに山中、ダム湖脇の分岐点から再び山に入り車を進めていく。道路脇には朽ちた廃屋が現れる古びた道。

両側に迫っていた斜面が遠のき狭い谷間が広がり始めた。集落も近い。やがて信州特有の赤いトタン屋根の民家が姿を現した。集落の中心部には黒ずんだ大きな建物。これが目指す廃校に違いない。雑草に覆われた校庭に車を乗り入れた。
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通行止めと迂回の影響で出発から約6時間。いやあ遠かった。道中車を降りたのはコンビニへ立ち寄った一度きり。車を降りまずは体を伸ばす。


場所は長野県中部。この木造校舎は2つの建物の組み合わせで形成されている。段差のある地形を利用しているせいかそれぞれの入り口の高さが微妙に違う。居合わせた方から話を伺うと最盛期にはかなりの生徒数を誇っていたとのこと。経済成長期、生徒の増加に合わせ次々と増築を重ねて今の姿になったのだろう。
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集落を後にすると地図を広げ行き先を考える。既に昼を回り当初予定していた日本海の廃校まではとても到着できそうもない。今夜はどこかで車中泊か。迷った末霧ヶ峰方面へ車を出発させた。標高が高いこの場所ならば夏でも心地よく寝ることができそうだ。

長野県の廃校/秋編
11月某日。野県山中にあるという廃校を再び長目指した。冠雪したばかりの中央アルプスを横目に北上、道中通過した分杭峠、パワースポットという怪しげなフレーズで近年急激に人気が出た場所。狭い峠周辺は老若男女で溢れかえる。驚くべきことに誘導の警備員の姿まで。昔の峠を知っている自分からすれば少し信じられない光景。
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パワースポットには興味もないので混雑する峠を素通り、高遠の市街地を抜け廃校がある集落めざし渓流に沿って続く狭路を進む。この廃校を目指すのは二度目。遡る事半年前、この辺りまで到達しながら災害通行止めによって廃校を目前に敗退したことがあった。季節は冬間近、落葉した木々を抜ける日差しによって明るい雰囲気の森が続く。

狭い山道を進むこと数十分、目的地である芝平集落に到着。山の合間に点在する民家の中心に建つひときわ大きい木造の建物、これが三義小学校芝平分校。


静まりかえる芝平集落もかつては石灰の採掘によって栄えた時期があったという。しかし現在、周辺に点在する民家の多くは空家のように見える。とはいえまったく人の気配がないわけでもなく校庭に並べられた大根に初冬の日差しが降り注いでいた。校庭の脇には美しい渓流。新緑の季節、再度訪れてみたいと思わせる廃校だった。
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集落から森へと消える道をたどりさらに奥地を目指したいものの舗装路が続いている保証もない。
住民の方に聞こうと周囲を見渡すと奥に建つ民家の煙突から薄い煙が立ち上っているのが見えた。薪が並ぶ古びた民家の扉をたたくとのっそりと出て来たのはおじいさんと大きな犬。まとわりつく猟犬のような巨犬におびえながらも、路面状況を聞いてみるとこの車ならばなんとかいけるじゃろうとの答え。ちなみにこの廃校、現在も時折使用されているとのこと。手入れが行き届いているわけだ。

路面はアスファルトからダートへと変化、砂利やくぼみにタイヤを取られながらもなんとか急坂を登り切り山の稜線へと達した。同時に悪路も舗装路へと変わり一安心。地図で確認すると合流した道は入笠山周囲を複雑に入り組む林道の一部のようだ。
うねるような草原が広がる入笠山。そんな美しい光景の中に一軒の廃屋が姿を現した。


ハイジの山小屋のようにも見える廃屋、立ち位置を変えると枯れた大木がお化け屋敷のような景観を創り出す。まさにホラーハウス。B級映画のセットを見るような廃屋、背後に北アプルスを望むことができる絶景ハウスでもある。木々の葉が茂る季節ならばこのような光景に気がつく事もなかっただろう。
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お化けハウスと別れ林道を登り切ると見覚えのある道へと合流した。去年入笠山登山で訪れた際に通過した道。しばらく走ると登山道入り口へと到着、ここから山頂までは徒歩わずか30分ほど。このまま山頂を目指そうかとも考えたもののこんな時間からの登山やはり無謀、そのまま稜線沿いの林道を走り続けた。
走行中、落葉したカラマツの隙間からはちらりと見えた池。



西日が水面を照らし出すとても静かな池。帰宅後調べると千代田湖という場所のようだ。湖というよりも池に近い。
やがて冬の日は山影へと沈み気温は一気に下がり出した。まだまだ先は長く適当に温泉でも探して帰るか。
[了]
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