fc2ブログ

●2014年5月某日/GW.四国の廃校と海を巡る〜柏島編〜

  • 2014/06/20 22:38
  • Category:
1405shikokugwtop.jpg
四国南西部徘徊二日目。
透明度の高い海に魅了され翌朝、再び高知県の端に浮かぶ柏島に向かってみることにした。
柏島は大月町の安宿からわずか15分ほどの距離にある。
昔から「沈没」せず次の目的地へと移動しづつけることが多い自分にとって
今回のように同じ場所にしばらく停滞する旅というのも珍しい。


[前回の記事]

森に吸い込まれるようにのびる大堂トンネルを抜ければ眼下に一気に海が広がる。
四国のはるか南端、高知県の果てに位置するこの柏島、はるか以前、近くまで来たときは狭路に手を焼いた記憶があるが、2003年大堂トンネルが開通したことで格段にアクセスが改善された。
その先に小さな島、高知県柏島が浮かんでいる。

1405GWshikoku0219.jpg

今日はまず島を俯瞰しようと大堂展望台なる場所へと向かう。
山上の展望台からは昨日徘徊した光景が手に取るように見える。下記の写真、あまりにも定番の構図だがこの向き以外は茂る木々でほとんど眺望がきかないため必然的にこの方向を撮ることになる。手前から島へと伸びる半島の南側は太平洋の荒波に直接洗われる断崖。対称的に内海側は波が遮られ透明度の高い穏やかな海。

高知県柏島大堂展望台1405GWshikoku0201.jpg
1405GWshikoku0205.jpg
1405GWshikoku0202.jpg

手前の半島に沿うように作られた43号線は架橋によって柏島と繋がれている。島の大半は山となっており、集落はわずかな平地が広がる北側に集中、その奥には見える大きな白い建物は廃校のようだ。海の色が白みを帯びている架橋周辺が柏島で最も透明度が高い部分となる。

1405map5.jpg

透明度の高い海は俯瞰で見下ろすと劇的に印象が変わる。
沖縄でもきれいな海を見つけると高台を探すことが多い。浜からの低い目線ではわからない海底の白砂と珊瑚、岩礁の絶妙のグラデーションが見下ろすことによりくっきり鮮やかに浮かび上がるのだ。

ここ柏島の周辺には海際まで山が続き、さらに海と平行する道路が高台に建設されているため俯瞰ポイントにはことかかない。道路脇の見晴らしの良い空きスペースに車を停め海を見下ろしながら少しづつ島へと近付いていく。どこから見下ろしても本土の海とは思えないすばらしい透明度。

高知県柏島透明度の高い海1405GWshikoku0203.jpg

島へとつながる新柏島大橋を渡る直前にあるこじんまりとした砂浜。
道路脇のスペースに車を停めて見下ろすと水遊びをする家族連れが一組いるだけの静かな場所。砂浜の両側は大きな丸い花崗岩でふさがれている。どのように降りるのだろうと見渡すと草むらに小さな階段が見えた。



草をかき分け下ってきた岩に囲まれた小さなプライベートビーチ。目の前を行き来するのはダイビング用のボートだろう。砂浜にいた家族連れと話してみると地元の方らしく、夏はもっときれいですよ。ぜひ来て下さいと声を掛けられた。

高知県柏島エメラルドグリーンの海1405GWshikoku0206.jpg
柏島の透明度1405GWshikoku0209.jpg
高知県柏島透明度の高い海1405GWshikoku0208.jpg

この浜の奥に怪しい廃屋を見つけた。コンクリート造りの古びた建物。朽ち具合から戦跡なのかもしれないと思い海岸伝いに接近を試みるも、写真奥に写っている丸みを帯びた花崗岩の岩をもよじ登ることができず断念。
夏場ならば防水カメラ片手に海を泳いで向かうこともできそうだ。

1405GWshikoku0211.jpg

柏島と本土の距離はわずか数十メートル。島と本土を繋ぐ新柏島大橋から海を見下ろす。今立つ橋は「新」との名の通り90年代に作られた架橋。奥に見える古びた橋は1960年代に開通した旧道。

同じ海でも時間によって色は変化し続ける。昨日は緑ががったエメラルドグリーン、今朝はターコイズブルー。透明度の高さによって係留された漁船の影が海底に落ち、まるで船が浮遊しているかのように見える。
昨年訪れた沖縄慶良間諸島を彷彿とさせる本土離れしたこの海の色、前回も書いたように雄大な南国の大自然の中というわけではなく、いたって普通の日本の漁村風景と共存しているのがなんだかおもしろい。

高知県柏島透明度の高い海1405kashiwajimab.jpg
新柏島大橋の海1405GWshikoku0212.jpg
高知県柏島透明度の高い海1405GWshikoku0213.jpg
高知県柏島透明度の高い海1405GWshikoku0215.jpg
高知県柏島透明度の高い海1405GWshikoku0216.jpg

眼下に広がる透明度の高い海、夏ならば是非泳いでみたいところだが、遡ること数年前に遊泳禁止ということで閉鎖されてしまったのだという。もともとは島の子供達の遊び場だったこの場所、近年急増した観光客に手を焼いた自治体が閉鎖したようでその旨を記した看板も立っていた。



観光客が急増した理由は交通アクセスの改善とネットの普及だろう。地元民あるいはマニアだけしか知られることのなかった隠れた名所がweb上で「発見」され、「絶景」として全国デビュー、人殺到、Yahooトップに「地元困惑」なんて記事となりさらに人目を引くといった繰り返しだ。
またフリー写真素材や格安レンポジによって、現地取材や撮影に足を運ばずとも気楽に出版できるといった時代背景なのか書店にも国内国外問わず絶景コーナーとして写真集が山積み。
昔は地図の等高線をたどり怪しい場所を探していた自分も、今では自分もネット(特に空撮やストリートビューには大変お世話になっている)でこのような隠れた名所情報を仕入れる立場なのでまったくもって偉そうなことを言えないのだが・・・。

1405GWshikoku0218.jpg
1405GWshikoku0217.jpg
1405GWshikoku0220.jpg

時計を見るとすでに昼前。昨日に引き続き時間がたつのが早い。今夜は松山の友人宅に泊めてもらう予定なので夕方には現地に到着したいものだ。地図を広げ現在地の柏島から松山までの最短距離を考える。

柏島からは大月町を貫く幹線道路、321号線で宿毛を経由し宇和島自動車道を延々と北上するのが最短距離。とはいえこのコース、あまりにも平凡すぎるので、時間はかかるだろうが、海沿いの未知の道路を探ってみようと柏島から幹線道路を外れリアス式のように入り組む大月町沿岸部へ足を踏み入れた。



この県道357号線、選んで正解だった。
決して道自体が良いのではない。細い道、延々と続くカーブ、さらに海沿いとはいえほとんどが森に阻まれ眺望は厳しい。しかし時折木々の隙間から眼下に現れる海の色はそれを上回る美しさがあった。海辺まで下りてみたい。そしてあの透明度の高い海水に浸かってみたい。下りようと思えばおそらく釣り人などが使う獣道があるはずだろうが今回は時間も足りず、断崖の上から眺めるだけとなってしまった。

1405GWshikoku0226.jpg
1405GWshikoku0227.jpg

この細い県道は時折高度を下げると海辺へ下りる。その都度現れる小さな漁村も海と同じく魅力的だ。
四国の秘境集落といえば祖谷渓を中心にした山岳集落ばかりに目がいきがちなここ数年であったが、こういった海沿いの集落もいいものだ。静まりかえった昼下がりの集落。大木が作り出す木陰、昼寝する猫、無造作に置かれた廃漁船。そんなゆるい光景に沖縄の漁村を思い出してしまう。

1405GWshikoku0224.jpg
1405GWshikoku0225.jpg
 
そして廃校。昨日に引き続き同じ廃校を訪れてしまった。

四国の廃校外観1405shiokuhai02.jpg
1405GWshikoku0222.jpg
1405GWshikoku0223.jpg

ようやく宿毛市街に到着。これまたようやく見つけたコンビニで買ったおそい昼飯をかきこむと、宇和島道で松山直行と思いきや、今度は進路を東へと変え四万十川沿いに大きく迂回し松山を目指すことにした。相変わらず行き当たりばったりな行程だ。

1405map5.jpg

時刻は13時。GW三日目、この日の気温はみるみる上昇、陽炎の向こうに浮かび上がるお遍路中の人々もつらそうだ。トラック街道と化した国道や、歩道もないトンネルを排気ガスと猛スピードの車におびえ歩き続ける遍路の姿を見るたびにいつも気の毒に感じる。

昔、何を思ったか野宿しながら国道1号線を自転車で走ったことがあった。1号線ならば迷うこともないだろうと安直な考えで選んだルートだったものの、トラックの風圧、あるいは逃げ場のないトンネルに恐怖を覚えたもの。その際の経験もあって遍路中の人や自転車旅行者を見かけた際はできるだけ徐行するようにはしているのだが。 
さて自分の自転車の旅といえば、ファミレスやイオン、洋服の青山に代表される派手で下品な巨大看板が続く地方都市のロードサイド光景に飽き飽きし、途中から国道から一歩外れた農村地帯のルートを選択、のんびりとした自転車旅を楽しむことができた。遍路のことはよく知らないが可能な箇所ではもう少しましなコースを設定してやれないものかものかと思ってしまう。



山を越え、四万十川に行きつきた。目の前に大河が蕩々と流れる。ここからは蛇行する川に沿って441号をひたすら北上していく。

1405GWshikoku0228.jpg

この国道、時折すれ違いも厳しい狭路が前触れもなく現れる。GW、さらに好天ということもあってか車が非常に多く何度も離合がくり返される。



それにしても今回山道での運転を知らないドライバーの多さには驚かされた。廃村探しや登山で狭い林道や悪路を走ることが多い自分は、木々の向こうにちらりと対向車が見えれば適当なスペースで待ち通過させるのが常識だろうと考えていた。
ところがこの道ではお互い対向車が見えているというのに双方のドライバーが後先考えず狭小部分に突入、立ち往生という光景が至るところで発生していた。さらに多いのが大型キャンピングカー。キャンピングカー同士が山中の狭小カーブで出くわすと大変なことになる。お互いバックもろくにできず、あえてしないのかはわからないが、それぞれの後ろに10数台が並んでしまい結局、最後尾の車から順にバックしていくはめになる。

そんなわけで間がかかる441号だったが平行して流れる四万十川の風景は相変わらず良い。今回は時間も無いので寄るつもりもなかったものの、沈下橋にひとつに立ち寄ってしまった。

1405GWshikoku0229.jpg
1405GWshikoku0230.jpg

やがて四万十川に沿って続いた山間部を抜け出すと宇和島道へと入り30分ほどで松山平野が広がり始めた。市内まではあと15分ほどだろう。
四国南西端の土佐清水、大月町近辺の海、川、廃校を徘徊した今回のGW旅もそろそろ終わりを告げる。松山からはるか東への帰路も当然まだまだ残っているとはいえ名神、東名などの高速道路をを惰性で走り続けるだけの旅ともいえない単調な行程。



四国のディープさにはまりつつあるここ一年、今回もその奥深さを実感することができた。とはいえ全行程四日間、現地滞在わずか二日間という短い時間では予定していた場所の半分も回ることができなかった。次回は夏以降、再びこの島を訪れることになるだろう。

[了]

Pagination

Utility

プロフィール

hou2san

Author:hou2san
失われ行く空間と生まれ行く空間。交錯する2つの光景を記録する。
※掲載内容は訪問時の状態であり、現在は異なっている場合があります。
なにかあれば下記メールフォームで。↓
場所を教えろよなんてことでもいいです。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事

月別アーカイブ