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●2015年7月某日/森に埋もれる秘境駅、三河大草駅跡

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先日行った愛知県山間部に建設される設楽ダム予定地探索の際、
いずれダム湖に水没するという旧三河田口線のトンネル群を見学する機会があった。
そもそも廃線というジャンルについてはなぜかさほど関心がなかった自分なのだが
調べているうち次第に興味がわき始めぜひ訪れてみたいと思う場所が現れた。
それが同じ田口線にある森の中の秘境駅、三河大草駅跡。
このような場所は濡れた景色が似合うだろうと雨が降る日を待ち続けた。


設楽ダム水没地帯

photo:Canon eos7d 15-85mm

愛知県山間部を縫うように走っていた豊橋鉄道田口線線、1968年に廃止されたこの廃線にはトンネル、橋梁はじめ多くの遺構が残されている。そのひとつが大草隧道。闇に包まれたトンネル内に立ちシャッターがおりるのをのをじっと待つ。長時間露光で撮られた写真がモニターに映し出されることで窺い知る事ができなかったトンネル内のディテールが初めて浮かび上がる。

豊橋鉄道田口線三河大草トンネル1506mikawaookusa09.jpg

実際のトンネル内はかなり暗い。足下には崩落した大小の石が散らばっているため手探り状態で慎重に奥へ進んでいく。
掲載してある写真はいずれも10秒近いシャッター開放によって映し出されたもので肉眼では見る事ができない光景。浮かび上がった写真によれば煉瓦で補強されている両端出入り口以外は岩盤むきだし、先日設楽ダム水没予定地周辺で見た廃トンネルと同じ構造となっていた。

豊橋鉄道田口線三河大草トンネル1506mikawaookusa02.jpg
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豊橋鉄道田口線三河大草トンネル1506mikawaookusa01.jpg
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暗闇の中で遥か前方に見えていた輝くトンネル出口が次第に近づきやがて光に包まれた。不明瞭な足下、さらにいちいち三脚を使い写真を撮っていたためわずか100mほどの隧道を抜けるのに20分近くかかってしまった。



抜け出した場所は光降り注ぐ明るい森だった。闇の中で20分ほど過ごしたため陽光がまぶしく目が慣れるのをしばらく待った後、緑が敷き詰められた線路跡に足を踏み入れた。

豊橋鉄道田口線三河大草駅跡1506mikawaookusa03.jpg

廃線といえば廃墟探索の中で最もとっつきやすいジャンル、トンネルを抜け難なくかつての駅へ到着した。

豊橋鉄道田口線、三河大草駅跡。
ホームとトンネルを絡めたこの構図は大草駅の定番アングル。三河大草駅で画像検索し表示された森の中、朽ちゆくホームと廃トンネルの組み合わせにひかれここをを訪れたのだった。
ホームに突き刺さった「三河大草駅」と書かれた真新しい案内看板が朽ち果てた雰囲気を邪魔しているので入らないアングルを探してみた。

豊橋鉄道田口線三河大草駅跡1506mikawaookusa08.jpg
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豊橋鉄道田口線三河大草駅跡1506mikawaookusa11.jpg

崩れ落ちそうな三河大草駅プラットホーム上に立つ。頭上を覆う木々が日を遮るためかホーム跡は苔むしシダを始めとする植物に覆われていた。



この場所、本来ならば過去に行ってきた廃神社訪問のように、小雨が降り続く日に訪れよる予定だった。雨に濡れた葉、もやに包まれた森がしっとりとした幻想的な光景を作り出すに違いない。ところが目的地が近付くにつれ梅雨空が切れはじめ思わぬ晴天となってしまった。

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駅の周囲を見渡せば一面の森。軌道の端は深い森へと吸い込まれてる。どこを眺めても民家どころか歩道すら見当たらない大草駅、当時の利用者は一体どのようにしてこのホームへ辿り着いたのだろうか。

[了]

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