●2015年8月某日/北の果て青森県竜飛崎の夏.02〜竜飛から下北へ〜
- 2015/10/22 23:04
- Category: 旅

東北を走り続けたどり着いた地の果て青森県竜飛崎キャンプ場。
全国的に降雨に見舞われた2015盆休み、ここ青森も雨予報だったものの昨日は奇跡的に好天に恵まれた。
今日も雨予報、さすがに雨だろうと覚悟し早朝、空を見上げると意外にも夜明けの澄んだ空が広がっていた。
雲は多少広がってはいるものの薄く雨は降りそうにない。
それならば本日の目的地はやはりあの場所、陸奥湾を挟んだ対岸に伸びる下北半島。
[前回の記事]
photo:Canon eos7d 15-85mm
津軽半島最北端、竜飛崎で夜が明けた。夜間は夏とは思えぬほどの涼しさ、計画通り安眠する事ができた。猛暑が続く地元でのキャンプならばまとわりつく熱帯夜の湿気によって一睡もできなかったことだろう。この季節のキャンプは北国あるいは標高の高い山に限ると改めて実感。

さてどこへ向かおうか。今回の旅、とりあえず竜飛崎が目的地だったため特に青森での予定もなし。そんな中、気になる場所と言えばやはり陸奥湾を挟む対岸にある下北半島だ。
この半島、延々と続く荒涼とした光景に見せられ過去何度となく訪れたお気に入りの場所。とは言っても現在地の津軽半島からは海で阻まれているため大きく迂回する必要がある。車で地道に走れば所要時間は片道4時間といったところか。それ以上問題なのは今夜もこのキャンプ場に泊まるという事。広大な下北半島を一周し、日が暮れるまでに再び竜飛崎まで戻ってくる事ができるだろうか。

そんなことを考えながらじっと地図を見つめていると津軽半島にある蟹田と下北半島脇野沢を結ぶ航路があることに気がついた。このフェリーを利用し陸奥湾を横断すれば見ての通りかなりのショートカットになる。
とはいえ調べてみると乗船代がなかなか高い。車を積むと片道9,810円。昨夜温泉入湯料わずか500円を惜しんだように普段は適当なものの一旦の旅に出たとたん節約思考に走ってしまうのがいつもの癖。さんざん悩んだすえ時間を金で買うと考えフェリー乗船を決意した。これが昔の自分ならば意地でも乗らずに下北まで自走したことだろうな。



車を搭載したフェリーかもしかは陸奥湾の最短部分、平舘海峡を渡りわずか1時間ほどで脇野沢へ到着した。
さてどこへ向かおうか。とりあず毎回訪れる尻屋崎を訪れてみるのも悪くはない。
しかし今日は例の台風崩れの低気圧の影響で全国的に雨。朝方は晴れていたものの気がつくと頭上は今にも降り出しそうな厚い雲に覆われている。アメダス日照レーダーをチェックすべく気象庁のサイトを開くもここ下北半島も雲に覆われ日照ゼロ。
それでも諦めきれずに雲の様子を調べることにした。気象衛星によって撮影された可視画像、気象庁サイトよりも最近打ち上げられたひまわり8号からのリアルタイム高解像度画像が見られるこちらのサイトがおすすめ。→LINK
可視画像のため夜間は見ることが出来ません。
さすがに今日の晴れは厳しいかと思いつつ画面を開き、宇宙から送られてくる現在の雲画像を俯瞰していると下北半島西海岸に雲の切れ間が存在しているのが見て取れる。というわけで今回の下北徘徊は西海岸に決定、10数年ぶりの訪問となる奇石が乱立する仏ヶ浦など適当に漁村や海を回り続けた。






それにしても下北半島は広い。仏ヶ浦の次は次第に雲が切れ始めた尻屋崎、その道中に点在する廃校見学へ向かおうと東へ走り続けるも時刻はむつ市あたり既に午後2時。この時間帯から尻屋崎へ向かうことになれば、竜飛崎キャンプ場到着は夜になってしまうことだろう。結局下北半島の広さに敗北、予定場所のほとんどを周りきることができず、途中でUターン。八甲田山を貫くみちのく有料道路を通り再び津軽半島へ戻ってきた。津軽半島は昨日に続き雲の切れ間となったのか好天だった。


深い山が続く津軽半島、そんな山間部で不釣り合いな巨大な建造物が建設中。壁面には「北海道新幹線奥津軽いまべつ」の文字。北海道新幹線駅舎となる建物だという。看板によれば新幹線開業は2016年3月、半年後に迫った開業に間に合わせるべく現在急ピッチで建設が進んでいた。
後ほど調べてみるとこの場所、元々二つの路線、二つの駅があったという。一つ目がJR東曰本の津軽二股駅、二つ目が青函トンネル有する津軽今別駅。ややこしいことにこちらはJR北海道管轄だと言う。交差点という理由があるとはいえ、このような辺鄙な場所によく二つも駅舎があったものだとそれだけでも軽い驚きだが、さらに三つ目の駅、しかも新幹線停車駅ができるというからさらに驚かされる。

建設現場周辺をうろうろしていると目に入ったのが小さなプラットホーム。これがもともとあった津軽二股駅だという。もちろん単線、無人駅。その背後の高架は海峡線。さらにその背後ではホームに覆い被さるよう巨大な新幹線駅舎が建設中。こじんまりとした田舎の単線無人駅が巨大な駅舎に今まさに飲み込まれていくという珍しい光景に出会う事ができた。周囲を見渡せば山ばかり、遥か先にわずかの民家が建つこの場所、先日訪れたリニア岐阜県駅建設現場のようにどのように変化していくのか、ある意味楽しみである。
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10数年前、日本一周の旅の途中、このあたりで車に乗った若者に道を尋ねられたことがあった。車中泊をしながら北海道を目指すという無職の旅人。自分とまったく同じ境遇の彼曰く、青函トンネル入り口を探しているのだという。当初は電車に興味があるのかと思いきや、この男、なんと青函トンネルが関門トンネルのように車で通過できるものだと勘違いし車道入り口をひたすら探しまわっていたらしい。結局大間崎から出ている安いフェリーのことを教えてやり、分かれた彼は今何をしているのだろうか。




日が傾いた頃、再び津軽半島最北端へ戻ってきた。この足下を先ほど書いた青函トンネルが貫いている。ちょうどすぐ脇には世界第一位(まもなく二位)の長さを誇るこのトンネルを記録した青函トンネル記念館の建物が建っている。ここ数年、リニア中央新幹線建設現場を徘徊している身としては長大トンネルの構造や掘削技術の知識を仕入れたく建物へ向かったものの下北半島を走りすぎたせいで残念ながらあとわずかのところで閉館時間に間に合う事ができなかった。
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そんなわけで再び竜飛崎。西日が立体感を作り出す断崖と日本海、そして泊まってるキャンプ場、龍飛崎シーサイドパーク。岬裏手の人気のない高台から見下ろすこの風景が気に入ってしまい今日も同じ時間に同じ場所を訪れた。荒涼とした津軽半島西海岸を飽きることなく眺め続けているうちに今日も竜飛崎で日が暮れる。




岬からの急坂を下りきり海際のキャンプ場へ戻ると、今日も何をするでもなく海岸の石に腰掛け暮れ行く空を見つめ続ける。積乱雲が広がっていた昨夜の夕景とうってかわり今日の空は秋を感じさせる巻雲が一面に広がっている。下地となる雲量も十分、こんな日はドラマチックな夕焼けを見る事ができるに違いないとの期待通り太陽は巻雲を赤く染めやがて日本海へ没していった。






次第に広がる夜空。キャンプ場の頭上一面に広がる星に写真でも撮ってみようかと車から三脚を引っ張り出す。しかしカメラを設置する段になってあろうことか雲台のネジが外れかけていることに気がついた。締まる事もないネジ、揺れるカメラ。10年以上酷使した結果なのか、もはや三脚としてのていをなしてはいない。仕方がないのでカメラを無理矢理押さえ込み20秒近くシャッターを開いてみたもののやはりぶれていた・・・。
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それにしてもこのキャンプ場、目前に広がる日本海、断崖迫る秘境感といい非常にすばらしいロケーション。晩秋のわびしい季節、コテージで暖まりながら荒れる日本海を眺めるのも悪くはなさそう。
[続く]
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