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●2016年3月某日/海を望む廃校に泊まる

  • 2016/05/10 23:12
  • Category: 廃校
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日本で増え続ける廃校となる学校。
建物のその後は、倉庫として使われたり、作家の創作場所となったり、廃墟となり朽ち果てたりと多種多様。
また廃校が宿泊施設として生まれ変わった事例も多い。
それらは例外なく格安ということもあってこれまでも旅の最中、各地の廃校に泊まってきた。
今回は三重県南部の漁村に建つ廃校に宿泊することとなった。


photo:Canon eos7d 15-85mm



複雑に入り組んだリアス式海岸が続く三重県南伊勢町。
いくつもの漁村を通過し最後に現れた小さな集落高台で桜に包まれる古びた建物。これが廃校となったかつての小学校校舎。道中寄り道が多く、現地に到着したのは午後遅い時間。空にはまだ青みが残っているものの山影となるこの漁村は薄暮に包まれつつあった。

三重県南伊勢町の廃校1603miehaikou.jpg
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漁村の外れに車を停め崖のような斜面に張り付くよう作られた石段を上り校庭へ到着した。
平地が貴重な漁村の学校は山を削って土地を確保することになるため高台に立地することが多い。その高さゆえ廃校となった現在も地域住民の津波避難所として活用されている事も多くここもその一つ。石段の途中には標高が記された看板が至る所設置されている。



校庭から見下ろすと海辺のわずかな平地は民家の瓦屋根でぎっしりと埋め尽くされていた。景観が見事に統一された非常に美しい風景。熊野灘に突き出た半島の果てに位置するこの漁村、道路も行き止まりとなっているため集落を抜ける車の姿もほとんどなく静まりかえっている。時折耳に届くエンジン音は寄港する漁船のもの。波もない静かな入り江を漁船の航跡が切り裂いていく。

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片隅に置かれていた学校の沿革によればかつてこの場所にあった木造校舎は伊勢湾台風で倒壊、その後現在の鉄筋校舎となったという。1985年の廃校から30年あまり、現在は宿泊施設として生まれ変わったもののそれでも至る所にかつての学校の面影が残されている。
その中でも特に図書室は魅力的。蔵書はマンガ、小説からマニアックなものまでジャンルは様々。かつての教室を利用した部屋に籠もり深夜まで読みふけってしまった。


三重県の廃校1604haikou0208.jpg

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校舎や複雑に入り組んだ集落路地を探索しているうちに日が暮れた。
普段は闇に沈むこの校舎、今夜は自分たちが宿泊するため教室、廊下などには電灯が明るく点されている。窓から漏れる明かりが校舎周辺を照らしだし周囲の桜並木はまるでライトアップされたかのように浮かび上がった。まさに夜桜。普段桜や花にはほとんど興味がわかないものの思わず撮ってしまった。


廃校の夜桜1604haikou0303.jpg
廃校の夜桜1604haikou0307.jpg
廃校の夜桜1604haikou0310.jpg



漁村を歩く。静まり返った夜の集落に人の気配は一切ないはず。ところが意外にも人影がちらほら。海沿いの岸壁など闇の中、じっと佇む黒い人影に驚かされる。
その正体はすべて岸壁から海に向かいじっと釣り糸を垂らし夜釣りを楽しむ釣り人。深夜の漆黒の海が怖くないのだろうかと思ってしまうものの、釣り人側からは夜、三脚を抱えて徘徊するこちらの姿が怪しく感じられたことだろう。


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集落頭上で輝く夜の廃校。
自分のような変人はともかく地元の方の目には闇に沈む古びた廃墟は不気味な存在だったのかもしれない。しかし新たな施設として生まれ変わったことによって、深夜も明るく周囲を照らし出し高齢化が進む住民を元気づけることができる。そのような話を管理人の方から伺ったが集落を見守るまるで灯台のような存在にも見えるのは確か。


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再び廃校の高台へ戻り、先ほど徘徊した港を見下ろす。
静まり返る小さな漁村は星に覆われていた。

[了]
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