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●2016年8月某日/大鹿村天空の池 車中泊〜夕景夜編〜

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長野県大鹿村、標高2000mを越える秘境にある天空の池。
前回美しい早朝の光景を眺める事ができたものの池と星空の組み合わせは悪天候のため叶わず。
それからわずか一週間。池周辺で車中泊を行い星空を眺めるべく再度大鹿村を訪れた。
しかしその道中、晴れ渡った夏空が次第に暗雲に覆われやがて大粒の雨が車体を叩き付け始めた。
土砂降りの豪雨によって途中で引き返した前回と同じパターンに陥ってしまうのか・・・。


photo:Canon eos7d 15-85mm

前回の記事
天空の池、夏の徘徊記
天空の池 〜秋編〜


長野県大鹿村。まさか一週間後に戻ってくることになろうとは。
夏空が広がっていた長野県、しかし大鹿村が近づくにつれ雲が空を覆い辺りは驟雨に包まれた。とはいえ夕立のような一過性のものだろうとの予想通り国道から外れ林道中峰黒川線を登っていくにつれ雨もあがり視界も広がり始めた。


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黒川牧場入り口のゲートから雨で濡れた急傾斜の砂利道を登り続ける事20分。池の畔に到着。
今日の天空の池は上空に晴れ間が残るものの絶え間なく流れる霧によって視界も不明瞭。まあ今回の目的は星空なので15分ほど肌寒い霧の中を歩きまわると、車に戻ると車中泊の準備。夜までは特にすることもないので車内で本を広げごろりと過ごす。


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天空の池1608iishikka0104.jpg


そういえば池の畔に立つ看板に「天空の池2016m」書かれた表記があることに気がついた。自分の記憶では以前はこのような表記はなく青い池のイラストだけだったはず。ということは「天空の池」という名称、大鹿村公認ということになったのだろうか。



池周辺は絶え間なく霧が流れ続けるものの前回のような雷雲に包まれる事も無く上空は晴れ渡っている。
しかし西側に位置する中央アルプス上空で成長を続ける積乱雲によって西日が遮られ池周辺は完全に日陰状態。昨年の毛無峠でも同じ経験をしたが夏の雷雲は供給元となる熱が消え失せる夜間には消滅するので、星空に関してはさほど心配はしていないが夕焼けは期待できそうにもない。



そろそろ夕飯。車中泊の場合、プリムスバーナーで湯を沸かしカップラーメンを作ることが多いが、ここ天空の池は牧場内のためか火気厳禁と記されている。そのため今夜の夕食は飯田市のコンビニで買っておいたパンとおにぎり。


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周囲は次第に闇を増しこのまま夜を迎えることになりそうだ。夕焼けはあきらめ車内灯をつけ本を開く。意外におもしろい内容に夢中になって読みすすめていくうち空の事はすっかり忘れてしまった。
どのくらいの時間が過ぎたのだろう。活字から目を離しフロントガラス越しにふと彼方を見ると対岸を埋める積乱雲の一画にわずかな切れ目が生まれ始めた。これはいけるかもしれない。ドアを開け車から降りた。

隙間から漏れ始めた光芒によって灰色だった雲の輪郭がオレンジ色に染まり始めた。

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天空の池夕焼け1608iishikka0202.jpg


やがて夕日は空に一直線の筋を描いた。
西の空に積乱雲が湧いた夏の夕刻、偶然が重なり平地においてもたまに見ることがある光芒。風もぴたりとおさまり水鏡のようになった池の水面にも光芒が映し出された。光と雲が作り出す幻想的な光景は10分程続き今度こそ闇が訪れた。

天空の池夕焼け1608iishikka0205.jpg
天空の池夕焼け1608iishikka0208.jpg
天空の池夕焼け1608iishikka0204.jpg
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天空の池夕焼け1608iishikka0210.jpg





夜の天空の池。月もない漆黒の闇の中、湖面が星空を静かに映し出す。星座の知識は皆無なのでさっぱりだがそれでも星の数には圧倒されてしまう。中央アルプス上空に浮かぶ白い筋は天の川だろうか。


天空の池の星空210608ooshika01.jpg
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天空の池の星空1608ooshikaiketuika.jpg



深夜の山中とはいえ池の周囲は静寂に包まれているわけではない。
森に響く獣の鳴き声、鳥の悲鳴。気味が悪いのは背後の笹の中をひっきりなしに移動するガサガサという音。獣道のような形跡が笹の原野に残っていたので夜行性の動物が移動を繰り返しているのだろう。それにしても背後を動き回る謎の動物、まさか熊ではないだろうな。


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天空の池の星空210608ooshika02.jpg


今夜の池周辺には夜になって到着した車が他に2台停車しているで心強い。ソロキャンプのように下界から隔絶されたこの漆黒の空間にたった一人だったらさすがに心細かったことだろう。





早朝4時。天空の池で朝を迎えた。標高2000m。8月とはいえ朝方はさすがに冷え込んだ。
くもった窓ガラスを拭き周囲の様子を観察。先週の訪問時と同じく池周辺は東側にそびえる山の影となっているものの、空には青みが増し始めている。いつの間にやってきたのか池周辺の草原には何台もの車が停められていた。


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大鹿村天空の池1608iishikka0406.jpg
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積んであったポリタンの水で顔を洗っているとダート坂を登ってくるエンジン音が辺りに響き次々に車が池の畔に到着する。自分はといえば池で一夜を過ごし今回の目的は一応達成できた。野宿セットをまとめ、池に日が射し込むのを待つ事なく入れ替わるよう混雑する池を後にした。





朝の光に包まれた早朝の林道中峰黒川線。
かつてあったテレビ番組、アフロヘアの黒人が油絵を指導する「ボブの絵画教室」。その中で彼が得意とするジャンルが日が差し込むさわやかな森の光景だった。この奥に立つ建物も絵に毎回必ず登場するおじいさんの小屋にそっくり。まるで絵画のような朝の光景にくだらない昔話をつい思い出してしまった。

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林道中峰黒川線1608ooshika0501.jpg



さて大鹿村での「池」と言えば現在は天空の池にその座を譲り渡した感があるものの本来「大池」と呼ばれる池が有名。大池は天空の池と違い観光ガイドにもしっかりと掲載されている。池自体は黒川牧場へのアクセス途中にあり何度も脇を通過したもののいまだ立ち寄った事がなかったので、今回池から麓へと下る途中車を停めた。


大鹿村大池1608ooshika0503.jpg
大鹿村大池1608ooshika0504.jpg
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森の窪地にあるこの大池、日差しが照りつける開放的な天空の池とは対照的に苔むした老木が頭上を覆う幻想的な薄暗い雰囲気。朽ち果て湖面に崩れ落ちそうな木造の遊歩道もまたいい感じなのだ。30分ほどの滞在時間、人の姿はもちろん横の林道を通過する車すら現れない静かな場所だった。

二週連続で訪れた大鹿村天空の池。幸いな事に夜は好天に恵まれ池での目的は一応達することができた。また秋でも訪れてみるかな。

[了]
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