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●2023年夏某日/津軽の廃校、地下坑道。竜飛崎の夏の風景。

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青森県津軽半島。
先日掲載した下北半島と並び西側の津軽半島も国内で好きな場所のひとつ。
そんな半島を走行中偶然新たな廃校を目にした。
過去繰り返し通いそれなりに行き着きしたはずの津軽半島だったが
うかつにもこの廃校の存在には今日までまったく気がつかず。
その他、マニアックな場所を徘徊した2023年夏の記録。


※本記事は訪問時のものです。現在の状況は異なっている可能性もあります。

夏某日、いつものように津軽半島の先端、竜飛崎を目指し走行中、民家の合間から木造建築物がちらりと見えた。その形状から間違いなく廃校と確信し車をUターン。路地を抜けると、現れた建物前の門柱脇には○○小中学校跡と刻まれた記念碑が建てられてた。やはり廃校だった。
夏が作り出す彩度の高い光景。その世界に対称的な色褪せた木造校舎が建つ。

青森県津軽半島の廃校校舎2308tsugaruhaiko.jpg

学校は三つの建物が集合したかなり規模の大きなもの。何度も走った津軽半島、これだけの規模の廃校になぜ今まで気がつかなかったのかと自問自答しながら周囲の農道からチェック。校庭は見当たらなかったが、帰宅後、航空写真を見ると西側にプール含めた校庭があったようだ。現地では背丈ほどに生い茂る雑草によってまったく気がつかず。
それにしてもgoogleストリートビュー撮影車は上記写真位置まで入り込んでおり、林道、路地、悪路にも突入する冒険心には相変わらず驚かされる。

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廃校から川を挟んだ対岸には竣工したばかりと思われる廃校と同規模の老人ホームが建てられていた。新築の老人ホームと古びた木造校舎、新旧のコントラスト。施設側から廃校は上記のように見えており、自分が学んだ校舎を窓から眺める入居者もいるに違いない。

青森県地図2308amorimap.jpg

今日まで廃校の存在に気がつかなかったのは普段、竜飛崎を目指す際は国道ではなく、走りやすい郊外の広域農道を使用することが多かったためか。
廃校を後にし広域農道へ復帰、再び北を目指す。道は海沿いから山岳地帯へと変化、曲がりくねる山道を走り続けついに津軽半島先端、竜飛崎が見えた。長らく続いてきた山塊はここで断崖となって海へと切れ落ちている。断崖上の白い竜飛崎灯台、津軽海峡、そしてその先に青く霞む北海道。まさに地の果て。

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本州と北海道とを隔てる津軽海峡。この海面下には全長54kmに及ぶ青函トンネルがあり、本州と北海道は地続きで結ばれている。
1961年に着工した青函トンネル工事は、海底下を掘り進んだため出水など壮絶なものとなり完成までに30年近いを年月の末完成した。白い竜飛崎灯台の脇には、トンネル工事の最前線基地「竜飛工区」が据え置かれ現在遺構となって残されている。



青函トンネルへ。ゲートが重々しく動き、地底深くの本坑へと繋がる暗い斜坑入口が開いた。

青函トンネル坑内見学2308seikantunnel02.jpg

厳重に封鎖されたゲートが開くとその先に見えたのは底が見えない井戸のような深い穴だった。この穴は地下深くを南北に走る青函トンネル本坑へと通じている。

青函トンネル体験坑道2308seikantunnel03.jpg
青函トンネル竜飛斜坑線2308seikantunnel04.jpg

ガタンと動き始めた作業用車両は、奈落の底へと続く斜度14度の斜坑をひたすら下っていく。低速で下り続ける作業車全面からは同じような光景がひたすら続く。

青函トンネル断面図イラスト2308SeikanTunnelmap.jpg

地下140m。停止した作業車から降りる。わずかな蛍光灯に照らし出される薄暗い坑内は、頭上や壁からは海水が雫となってがしたたる湿度の高い空間だった。
この場所は上記地図で描いたように竜飛崎直下であり正確には海面下ではないが、地盤の厚みと津軽海峡の膨大な海水がのし掛かっているような重苦しさを感じる。

青函トンネル竜飛斜坑線2308seikantunnel05.jpg

青函トンネル体験坑道2308seikantunnel06.jpg
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まるで炭鉱のように複数のパイプが張り巡らされた荒削りの坑道が曲がりくねり、分岐し続く。海峡下に掘られているのは青森・北海道を繋ぐ鉄道用トンネル一本だけではない。青函トンネル本坑周囲の地中には先進導抗、作業抗など何本ものトンネルが複雑に分岐しており、ここに置き去りにされたら地上に戻れる自信はない。
長大トンネル建設においてはこのように数カ所から本坑を掘削する工法が主流となっており、何年か前に探索を行ったリニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区もこのように複雑な構造となっている。→LINK



現在の鉄道トンネルに平行し2本目のトンネルを掘り自動車道として運用しようとする第二青函トンネル構想。以前から噂されてきたがここ数年で再び計画が浮上し始めた。未知の地下にトンネルを掘ったため壮絶な工事となった青函トンネルとは違い、地盤、地質は把握されており前回ほどの苦労はしないだろう。
とはいえ完成後の維持管理の困難さは見ての通り。湧水との戦いは現在も続き、漏れ出した海水はポンプアップし地上にくみ上げ続けている。現在地直上にある竜飛崎の海岸ではトンネル内の湧水を海に戻している現場を見ることができる。

青函トンネル体験坑道2308seikan03.jpg


最深部。下記ゲートの奥に北海道新幹線が走る青函トンネル本坑がある。かつて竜飛海底駅があった場所だが厳重に封鎖されており、現在は立ち入ることができないようだ。

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冷気と暗闇の地中から地上へ戻る。強い夏の日射しが照りつける明るい地上で現実に引き戻された。周囲にはトンネル工事で使用された機材重機が錆び付いて転がっている、はずなのだが撤去されたのか2023年の今回は見当たらず。(下記写真は2016年訪問時)

青函トンネル記念館1608aomori0210.jpg

天候は目まぐるしき変化し続けた。積乱雲、大雨、快晴。最後は霧に包まれいつものキャンプ場に到着した。

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日本海に面するキャンプ場からは毎回見事な夕日を眺めることができた。夕刻の空は曇天。
しかしよく見ると彼方の雲がわずかに切れつつある。そのため太陽が水平線に沈む直前、雲底を照らし出すに違いないと高台にある竜飛崎灯台へと移動した。日中は観光客で賑わう竜飛崎灯台駐車場もこの時間は無人。

青森県竜飛崎の夕日2308aomoritugaru0205.jpg
青森県竜飛崎の夕日2308aomoritugaru0206.jpg

18時、日没寸前の太陽が水平線と雲のわずかな隙間に達すると強い光が射し込んだ。光は北海道や無人島の渡島小島、そして雲底を染め上げ、夕闇に包まれていた岬一帯をオレンジに包み込んだ。下北半島に続く見事な夕日。この光景もわずか五分ほどで終わりあたりは闇に包まれた。



夕食は最終コンビニで買っておいたカップ麺。相変わらず写真映えしないキャンプ飯。
さてキャンプ場での夜と言えば星空。これまでも日本各所の秘境キャンプ場で見事な星空を見てきた。特に半島先端に位置する現在地、竜飛崎は地図上では満天の星空を眺められそうな場所に位置している。しかし現実はそんなに期待できない事を過去の経験上知っている。

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夜が更けると漆黒の海面に次々に光が灯り始める。夜の海峡の海を煌々と照らし出す強烈な光の正体は漁船。多い時には水平線まで広がる灯りは季節の風物詩でもあり、これはこれで面白い光景なのだ。

[了]

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失われ行く空間と生まれ行く空間。交錯する2つの光景を記録する。
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