2016年5月某日/能登半島GW徘徊記.02

  • 2016/07/10 22:58
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2016年ゴールデンウィークに訪れたのは13年ぶりの石川県能登半島再訪。
観光地から廃線まで懐かしい各所を回り、3日目は廃校を利用した宿泊施設で朝を迎えた。
昨日、途中で終わってしまった能登外周路を再び走るべく
一台の対向車も現れない山中の不思議な快走路を一気に駆け抜けスタート地点へと戻った。


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能登旅一日目は能登島でキャンプ、二日目の宿は廃校を改装した格安の宿泊施設。周囲を里山の自然に囲まれた雰囲気の良い校舎だった。

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時間切れによって昨日夕方、途中で切り上げた能登半島外周一周。
早朝、廃校を発ち相変わらず一台の対向車も現れない山中の無人道路を駆け抜けスタート地点へ戻ってきた。現在地は烏川大橋と呼ばれる海際のループ橋。ではこの場所から能登半島一周を再開。
右手に濃紺の日本海を望みながら海際の国道249号を輪島方面へとひたすら走り続ける。よく晴れているものの昨日に引き続き風が強く海は大荒れ、岩場には白波が打ち寄せている。

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日本海沿岸の魅力のひとつ、それは海沿い点在する番屋の存在。かつて晩秋に能登を訪れた際は鉛色の空、荒れる海を背景した番屋が作り出す彩度のない風景が非常に絵になっていた。車を停め番屋のひとつを撮ってみたものの5月の今日はなんだかさわやかすぎる写真になってしまった。


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千枚田。
海に面した狭い傾斜地に水田が複雑に入り組む奥能登の名所のひとつ。棚田の中心を横切る国道を走りながら驚いた。溢れる車、観光客、警備員。以前通過した際には道ばたにわずかな駐車スペースがあっただけと記憶している千枚田展望台だったが今回、通りかかるとこぎれいな道の駅まで作られていた。特に立ち寄るつもりもなかったが横を通過中うまい具合に「満車」の表示が取り外されたので思わず立ち寄ってしまった。

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こちらは輪島市郊外の棚田。
google航空写真で面白そうな場所を探していると気になる地形を見つけたので寄り道。249号から地元民以外立ち入らないような細い脇道に入り急道を登っていと現れたのは日本海を見下ろす高台に水が張られたばかりの広大な棚田。古びた農機具小屋、青い海に向かって下る直線道路。こちらもなかなか良い。千枚田のような観光地ではないためもちろん観光客は皆無、とても静かな場所。

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輪島市の棚田1605gw0207.jpg

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輪島市。13年ぶりに市街地を通過し一新された町並みに千枚田同様驚かされた。道路拡張、建物立て替え、ビジネスホテル新築によって、過去何度も訪れた際に抱いた薄暗い印象の町からどこかあか抜けた雰囲気へと脱却しつつある。かつての寂れた輪島市も好きだったけどな。
街中を抜け輪島港にも立ち寄る。かつてこの港から日本海に浮かぶ孤島、舳倉島(へぐらじま)へ渡ったこともあった。天候と対照的に大荒れの日本海。おそらく船は欠航だろう。


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輪島市街地を通過、38号線に入る。能登北西端はこの半島で最も秘境と言える地区。
千枚田や輪島市周辺はGWということもあってかそれなりに混雑していたものの市街地を通過すると車の往来はほぼ皆無。濃紺の日本海をはるか眼下に見下ろすら曲がりくねった断崖上の狭路が延々と続く。海上は大時化、岩に荒波が打ち付け白い波しぶきが高く舞い上がる。


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上大沢町、間垣の集落1605gw0211.jpg


そんな海際に時折現れる集落のひとつ上大沢町。家の周囲を間垣と呼ばれる竹の壁で覆い冬の季節風を防ぐ工夫がなされている。各家の「間垣」が連結、集落全体が外敵から守る砦のように見える。

海岸線に沿ってひたすら続いた能登半島外周路は断崖に阻まれ上大沢で終了。この先集落もなく38号線はここから内陸に入る。新緑に包まれた山道を進んでいくと道沿いに現れる数段の滝、男女滝(なめたき)。かつてこの滝の真下に廃校となった校舎があった。当時の記憶を頼りに探してみるも解体されてしまったのか周囲には建物ひとつ見当たらず。帰宅後国土地理院の過去写真で調べてみると10年ほど前までは残っていたようだ。
その後も皆月集落に代表される隔絶された秘境集落をめぐり奥能登から脱出した。


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南に南下した能登半島の付け根のあたりに羽咋という町がある。その郊外、民家の間にそびえ立つ謎のロケット。この場所、コスモアイル羽咋と名付けられた博物館。こちらを訪れるのも10数年ぶり。近年UFOや宇宙人を中心にB級スポットとして売り出している感があるコスモアイル羽咋だが、実は宇宙開発系の「まじめ」な展示物がなかなかすごいのだ。


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館内には宇宙開発が最も熱かった黄金期の1960年代に米ソ両陣営が威信を掛け開発した探査機の実物、レプリカが所狭しと並んでいる。生々しい焦げ跡が残るカプセルは実際に宇宙から帰還した本物だ。それにしてもこのような貴重な品々がなぜ石川県の田舎町に存在しているのかと訪れるたび疑問に思ってしまう。




1957年のスプートニク打ち上げを皮切りに始まった米ソ2つの超大国の熾烈な宇宙開発競争。フォン・ブラウン率いるアメリカ、セルゲイ・コロリョフ率いるソビエト。二人の天才が率いるライバル対決に世界が注目する中、やがて焦点はどちらが先に人類を月面に送り込むかに絞り込まれた。

その2大国の月探査船が下記写真。まずはアメリカのアポロ計画。実際に成功したこともあってか我々が知るいかにも宇宙船といった安心できる形状。

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一方下記は華やかなアポロ計画の陰に隠れたソ連のマニアックな月探査計画、ルナ計画。
有人・無人の違いはあれど、同じ時代に共に月面を目指した探査機。無機質でクールなデザインのアメリカ製、一方どこか有機的なものをイメージさせる不思議な外観のソ連製と、デザインにそれぞれのお国柄がにじみ出ておもしろい。

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アメリカの宇宙開発については月面着陸成功の印象があまりに強く、また最終的に「勝者」となったことで周知の事実。一方秘密主義や宣伝下手、さらには政治闘争に翻弄され謎のベールに包まれたソ連の宇宙開発。しかししばらくの間はアメリカを常にリードし続けた存在だった。人工衛星、無人飛行、有人飛行を着実に成功させていくソ連。同じようにドイツ人科学者を連行しながらも、失敗続きのアメリカでは国民の間に失望感が広がっていた。内紛もあって月面有人着陸には破れたものの「無人機によるサンプルリターンで十分」と負け惜しみを言いながら火星や金星に探査機を着陸させてきた実績を持つ。





別にやっているサイトで10年ほど前、ソビエトデザインの魅力という記事を書いた事があった。グラフィック、工業製品、おもちゃ、軍事等ロシア人は独特のデザインを作り出すことに長けている。
宇宙分野においても先ほどのルナ計画をはじめ手作り感あふれるデザイン目立ち、それがまた魅力でもある。お椀と馬車を組み合わせたように見えるレトロな外観の月面探査車ルノホートもそのひとつ。ぜひ画像検索しアメリカ製の月面探査車と比べていただきたい。
また失敗に終わり存在自体が闇に葬られたソ連の超大型ロケットN1は球体タンクむき出し、モスグリーン塗装の不気味な円錐形の外観といい化け物といっていいほどの代物だ。もちろんいずれも利便性を追求した結果、生まれたデザインなのだがどうしてここまでアメリカ製と差がつくのだろうか。

しかし豊かではない国が宇宙や軍事に莫大な予算をつぎ込んだあげく政治闘争に明け暮れた結果は皆の知る通り。現在、これらソ連の宇宙船は廃墟となった基地で埃をかぶり朽ち果てているという。とはいえ旧時代の遺物も言えるソユーズロケットはいまだISSへ人を送り続ける貴重な存在でもある。



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コスモアイル羽咋は先述したよう宇宙科学博物館と称しているもののUFOをネタに売り出し中。かの有名なロズウェル事件で捕らえられた宇宙人も展示されている。この宇宙人、かつて薄暗い館内の片隅に立ち不気味な姿をさらしていたはずが10数年前ぶりに訪れたところ気の毒にもケースに収められ解剖されてしまっていた。分厚いUFO目撃レポートをめくっていると時が経つのを忘れてしまう相変わらずマニアックな場所だった。





能登半島の田舎で遠く宇宙に思いを寄せたものの気がつけば昼も回っていた。中国地方を一周した昨年に比べ今年のGWは非常に短くそろそろ帰路につかねばならない。
中生代の痕跡、手取層群で化石発掘をしながら南下を続ける途中、立ち寄ったのが勝山市の山裾にひっそりと佇む神社、平泉寺白山神社。この神社、社殿本体よりも周囲を取り囲む苔の絨毯が非常に魅力的。そのため近隣を通過する度いつも立ち寄ってしまうお気に入りの場所のひとつ。

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鬱蒼とした杉並木内が続く緩い石畳の参道を進んでいくと周囲は苔が作り出す緑の空間に変化する。起伏にそってどこまでも覆い尽くす柔らかい苔の絨毯。 
白山神社を初めて訪れた日は土砂降りの雨だった。傘をさし訪れた境内で雨によって濡れた苔が映し出す鮮やかな緑の光景に非常に感動した事を覚えている。その後、様々な季節に訪問したもののやはり苔は雨が似合うもの。残念ながら本日は日が射し込みいまいちな感じ。それでも柔らかな緑の風景に先ほど怪しい宇宙人によって乱された心が洗われるようだ。


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夕刻、福井県山中にあるキャンプ場に到着。横を川が流れる雰囲気の良いサイト。今夜はここに一泊、明日帰宅するか。

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13年ぶりに行った能登半島一周。当時乗った路線が廃線になったり、あるいは当時のままの姿を残した場所があったりと感じた変化は様々だったものの相変わらず秘境感溢れる良い半島だった。

[了]
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