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●2016年11月某日/禁教の島、野崎島上陸記.01〜曇天の五島航路編〜

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長崎県から西へ約80km。
東シナ海に浮かぶ群島、五島列島北の端、小値賀島の横に野崎島と呼ばれる島がある。
かつては600人を越える島民を数えたこの島、
1950年代をピークに人口は減り続け、現在は無人島となった。
そのため島内には当時の集落が廃村となり朽ちた姿を晒している。
またかつてキリシタンが潜伏していたことでも知られ
明治期に禁教が解かれた後、彼らが建てた煉瓦造りの天主堂が有名だ。



遡る事20年ほど前、同じ長崎県にある軍艦島を目指す途中一度だけこの島に上陸したことがある。
美しい海と廃屋が共存する世間から忘れ去られたような静かな印象だった野崎島、
しかし近年、島内の天主堂が世界遺産候補となったことで思わぬ注目を集め始めた。
このままでは島の観光化が進み本来の良さが失われてしまうに違いない。
その前になんとか再訪したいと思い続けたものの、五島列島の中でも最もアクセス困難と言われる野崎島。
機会を待ち続け数年、2016年晩秋ようやく上陸のチャンスが訪れた。


photo:Canon eos7d 15-85mm

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長崎県の西の果て佐世保港。
夕刻、フェリー「なるしお」は野崎島に隣接する小値賀島目指し錆び付いた船体を引きずるように岸壁を出航した。
見たところ乗り込んだ乗客のほぼ全てが上五島の島々へと帰宅する島民のようだ。普段から見慣れた風景には興味がないのか乗客達は二等船室の雑魚寝スペースに広げた毛布へ一斉にもぐり込んだ。
薄暗い甲板には自分ただひとり。船が作り出す航跡をぼんやりと眺めていると懐かしい光景を目にする事ができた。



針尾送信所跡1611nozaki0101.jpg

鉛色の海に停泊するのは風景に同化したような灰色塗装の輸送艦おおすみ。
その向こうに立つ三本の塔がかつて日本海軍が建造した巨大な無線塔、針尾送信所跡。16年前に志免炭鉱とともに無線塔を訪れた際には放置され廃墟のようになっていたものの、近年近代化遺産として注目を集め今やガイドブックにも掲載されている。近隣に浮かぶ軍艦島はじめかつてはマニアだけが集う秘密のスポットが次々に明るみに出る最近の傾向、良いのか悪いのかよくわからない。




雨続きの2016年秋、降り続く雨は九州でも同じだった。雨粒が降り込む甲板から船内に戻り二等船室で体を横たえていると、心地よい揺れと規則正しいエンジン音が睡魔を誘い、いつの間にか寝入ってしまった。


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2時間ほど船室で熟睡、ふと目を覚まし時計を見ると小値賀到着まで30分ほど。航路図によればフェリー「なるしお」は小値賀港到着直前に中通島と野崎島との間にある狭い海峡、津和崎瀬戸を通過する。

野崎島航路1611nozakimap3.jpg


明日上陸予定の野崎島を見る事ができるかもしれないと毛布をはねのけ甲板に出るとすでに夜となっていた。
低い雨雲が空を覆う星も月もない漆黒の闇。やがて彼方から浮かび上がる黒い島影、これが野崎島だった。民家や街灯の明かりがきらめく他の島と違い生活感は一切感じられない吸い込まれそうな真っ暗な塊。フェリーは不気味な野崎島の至近をなめるように通過、夜8時前に小値賀港へ入港した。



野崎島へのアクセスとなる小値賀島は山がちな野崎島とは対称的に平坦な有人島。
10人ほどの乗客と共にタラップを下りると、フェリーは次の寄港地宇久島へ向け慌ただしく出航して行った。乗客は皆、迎えの車に乗り込み島の各所へ散って行き喧噪もつかの間、静まり返る夜の埠頭に自分一人が残された。

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予約していた港近くの民宿に荷物を預け夜の集落を徘徊。
港周辺には古びた民家が密集、屋根同士が触れあいそうな入り組んだ路地を作り出している。水銀灯に浮かび上がる古びた壁面。路面を動く野良猫の影。

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野崎島への船が出航するのは明日早朝。
船乗り場は先ほどフェリーが到着した埠頭から離れた場所にある。念のため下見に向かうと離島待合所と書かれた古びた建物が昔と変わらぬ姿で自動販売機の明かりを浴び浮かび上がってた。
再び降り出した雨に追われるよう宿に戻り明日に備え今夜は早めに就寝。

[続く]
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