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●2017年5月某日/知られざる廃墟 姉川発電所跡【前編】

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しばらく前に偶然知った森に残された煉瓦造りの発電所廃墟。
場所は関西某所、水力発電所として建設されたものの70年以上も前に閉鎖された施設だという。
国内外の廃墟を網羅した便利な地図サイトにもこの廃墟は掲載されておらず
こんなものがほとんど知られる事なく残されていたとは、と思わず感動を覚えてしまった。
それから半年後、川を渡った森の中に遺跡のようにその姿を残す廃墟が確かにあった。


photo:Canon eos7d 15-85mm

拡大写真

5月某日滋賀県山中。
この廃墟を紹介するいくつかのサイトでは詳細な場所、アクセス、共にぼかされている。そのためストリートビューを駆使した結果、ようやく位置を割り出す事ができた。場所を掲載することは控えるが、発電所名は掲載されていたのでこちらもそれも習う。
廃墟の名前は姉川水力発電所。その名の通り滋賀県を流れる姉川水系某所にある。

さて廃墟の存在を知ってから半年近く訪問時期がずれたのはタイミングを見計らっていたため。
探索が容易な冬場は周囲の森は枯れ果て絵になりそうもない。一方緑が茂る夏は鮮やかな光景が広がる反面、虫や葉に阻まれ接近は困難。ベストは初夏。しかし晴れた日には木々の合間から射し込む木漏れ日が建物に影を作り出し撮りづらそうだ。また廃墟は川の対岸にあり水量が増加すると渡河ができなくなる可能性もあるため、日々webで河川水位をチェック、ついにその日が訪れた。



当日は残念ながら?晴れ男が幸いし好天予報。木漏れ日を回避するため日が昇る前に訪れる事にした。
白み始めた夜明けの空には雲一つ見当たらず好天の気配。しかし深い谷間にあるこの場所に日が射し込むのはまだ先だろう。ここ数日雨が続いたため水量が心配だったものの、古びた堰堤を使い渡りきる事ができた。吸込口があったので水位の上昇はないとは思われるが、上流にあるダム放水によって帰路が塞がれてしまう事を考え、数キロ下流にある橋をチェック、エスケープルートは確保済み。

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川を渡った対岸は森に覆われた急斜面。
枝に掴まりよじ上った先には木立や倒木が密集した薄暗い平地が続いていた。5月とはいえ冷え込む早朝の森。厚く降り積もった枯れ葉を踏みしめ奥へと歩いて行くと、そそり立つ杉の木立の合間に目的の建物が静かに姿を現した。


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エッジが効いた煉瓦造の壁面。一方窓は優雅な雰囲気を演出するアーチ造り。
まだ全容は見えないが予想を上回る規模と美しさを併せ持つ廃墟が出現したことに驚かされた。同時にこれほどの廃墟が地元の方以外、ほとんど人目に触れる事なく残されていたことにも驚かされる。



さらに建物に接近。茶褐色のアーチ窓からは新緑の葉が顔を覗かせている。


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姉川水力発電所が実際に稼働した期間は比較的短く、大正から昭和初期にかけてのこと。その後同じ河川にさらに大出力の水力発電所が建設されたことで、その役割を終えた。
閉鎖後、この場所を封印する意図があったのかは不明だが、発電所周囲は人為的に植林されたと思われる杉の木立で覆われている。閉鎖から70年あまりたった現在、それらの木々は見事に成長、はるか頭上で葉を茂らせ建屋は完全に覆い隠されることとなった。



まずは建屋周囲を観察。廃墟は予想よりも長く京都南禅寺の水道橋を彷彿とさせる煉瓦アーチがさらに奥へと続いている。ざっとみた感じでは発電所跡は三つの部屋で構成されているようだ。便宜上、北から第一室、第二室、第三室と勝手に名付けた。


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まずは一つ目の部屋。
比較的まもとだった外観と比べ内部は荒れ果てていた。屋根は完全に抜け落ち、かつての床は日影を好むシダ植物と降り積もる枯れ葉で覆われている。頭上を見上げると生い茂る木々の合間に青みがかった早朝の空がわずかに見えた。部屋の中心に建つ若木はやがて壁面を越える高さへと成長、煉瓦の隙間へと根を張り、建物を内部から崩壊させていくことだろう。


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ガラスが取り外されたかつての窓。要石から始まる丁寧に組まれたアーチ状の煉瓦と緑の森は額縁と絵画の世界のように見えた。当時は一体どのようなガラスが組み込まれていたのだろうか。
第一室南端の煉瓦壁面には隣屋へと続く出入り口があった。古城の門を思わせる出入り口をくぐり次の部屋へと足を踏み入れた。


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壁を抜けた先に続いて現れるのは同じように屋根が崩落した小さな部屋、第二室。
壁面には大きなアーチ状の開放部が設けられ小ぶりながら抜けた雰囲気を感じる部屋。アーチの向こうに広がる空間が発電所廃墟で最も大きな第三室となる。

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連続して続いた三つの部屋南端にあり最も面積が大きい第三室。
相変わらず建屋周囲は木立に覆われているためその全容は掴みづらい。南側にあった古びた石垣をよじ登ってみたもののこの程度。発電所らしい上部の丸窓が特徴的な重厚感ある建物が木々の合間に見える。
後ほど裏手にある斜面上から発電所全体を俯瞰してみたいと思う。


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周囲にびっしりと密集するこれらの木々、邪魔だとは言え同時に廃墟を覆い隠す存在でもある。
現在、発電所跡は森に包まれることで世間から完全に隠匿され、google空撮にも映し出されることはない。しかし木々がなければ対岸を走る道路から丸見え、人目に晒されることで有名廃墟スポットとして名を挙げていたにいたに違いない。



第三室内部。ここも他の部屋と同じくかつて床だった場所はシダに覆い尽くされている。また建物の内外から伸びる枝に緑の葉が茂り視界を遮るため全容をおさめることは難しい。本日は5月、訪問時期が一ヶ月ほど早い早春の頃ならばまだ葉も茂ることはなく全容を見通すことができただろう。

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隣接する建屋とはわずかに高低差をもって建てられているため、部屋中心に立つと先ほどの第二室を見上げるような形になる。当時は階段が設置されていたのかもしれないが、現在は堆積した土砂や倒木、枯れ葉がなだらかな斜面を作り床の段差を解消していた。


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木々の合間から見える空は次第に青色へと変化、薄暗かった周囲は急速に明るさが増してきた。
日が射し込むまで残り時間もわずか。駆け足で発電所を回り続ける。

[続く]
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