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●2020年6月某日/天空の池[夜編]高所で見た星との光景

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長野県大鹿村の隔絶された高所にある小さな池、天空の池との出会いから5年。
当時は知る人ぞ知る場所だった天空の池もわずか5年たらずで
オフローダーが次々に訪れる有名スポットに変貌した。

昨年秋、長野北部の徘徊途中、天空の池から星でも眺めようかと
夜間訪れたものの思いつきだったため新月のチェックができておらず
煌煌と輝く満月に照らし出された池の畔で星さえ見えず、撤退したことがあった。→[LINK

2020年、池へと通じる唯一の林道が冬期閉鎖から開通したと大鹿村のサイトで知ったものの
例年12月まで開通しているため夏から秋の人気のない夜間に訪れようとのんきに考えていた。 
ところが、最近になって再びサイトが更新され「8/3より牧場内道路工事の為閉鎖」と書かれている。
改良工事の完了時期は書かれてはおらず場合によっては通行止めのまま秋、冬を迎えてしまい
2020年の天空の池への道は2ヶ月ほどの開放に終わるのかもかもしれない。

また天空の池の魅力は車両によっては辿り着くのが困難な急傾斜ダートの荒れた道。
工事内容は不明だが仮に舗装工事だとすると「苦労して乗り越えたものだけが
目にすることができる絶景」も失われてしまうのかもしれない。

とはいえ上記に気がついたのは雨が続く梅雨の時期。
そんな6月、梅雨前線が南下し、日本列島が梅雨の中休みとなりそうな某日があった。
さらに当夜は新月にちかい漆黒の闇。
天空の池を訪れ星を見るチャンスはこの日しかないと急遽、車中泊グッズを車内に詰め込んだ。


photo:Canon eos7d 15-85mm

過去の徘徊録

長野県大鹿村。当サイトに何度も登場する山に囲まれた秘境の村。いつものルートで村内を抜け、林道に入る。この林道を走るのも慣れたものでもう10数回目。山の斜面に取り付きみるみる標高を上げ天空の池への入口となる黒川牧場へと到着した。すでに標高は1,700m越え。

ここから名物?の急傾斜つづら折りダートが始まる。とはいってもここ数年着々と舗装化が進行、さらにガードレールが設置される等、訪れる度に改良が加えられていく。
この牧場道路、通行止め期間が多い。雪に閉ざされる冬期はもちろん、大雨による土砂崩れや、それに伴う災害復旧工事等で油断しているとすぐに通行止めとなる。本来、斜面に沿って続く山岳牧場管理路として使用されていたものが一般に開放されており、観光客向けの道路ではないため仕方がないことだろう。2020年は例年以上に開放期間は短くなる。



ダートを登り切り半年ぶりに到着した天空の池。昨年の11月に見た茶褐色の丘陵の草原は鮮やかな緑へと変わっていた。池周辺は霧雨に包まれているが、おそらく夜間には雨雲は消滅するためさほど心配はしていない。雨天時にこのような場所をわざわざ訪れる物好きもなく人の気配はゼロ。池の畔に車を停め、車内で本を読みふける。
普段の旅ではバーナーで湧かした湯でカップラーメンやコーヒーを作るものだが天空の池を含む黒川牧場内はガスコンロ含む火気禁止と書かれているため、いつものように飯田市のコンビニで買っておいた夕飯代わりのパンをかじる。

さて寝るか。シュラフをひろげ車中泊の準備。下界では猛暑に包まれ真夏日となった本日、標高2,000mを超すこの場所はさすがに肌寒い。



アラームが鳴り池の畔の停めた車内で目を覚ます。ぼんやりとした頭で画面を見ると時刻は夜22時。結露した窓ガラスを拭き外の様子をうかがうと雲は流れ去っているように見える。

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車の周囲は漆黒の闇。やがて目が慣れると頭上に無数の星が浮かび上がった。前回訪問時は快晴ながら満月だったため星はほとんど望めなかったが、今回は新月に近いためいつも以上に多く感じる星の数。夜間になって風が治まり凪となった小さな湖面が上空の星を映し出す。この場所でまともに星を見るのは三年ぶり。


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夜の天空の池は静まり返っているわけではない。カエル、鳥、獣、様々な生き物の鳴き声や音で溢れている。薄気味悪いのが無数の獣道が刻み込まれた背後のクマザサの薮を行き来するガサガサという音。まさか熊ではあるまいな。
そんな人里離れた漆黒の山上に心細さを感じながらただ一人。はるか眼下には飯田市を中心に点在する伊那谷の夜景。人の営みを感じさせる中央道を移動する車のヘッドライトや民家の光は手に届きそうで遙かに遠い。



闇の中で一時間あまり、遥か下からタイヤが石を踏む音が近づいて来た。夜の天空の池を目指している車が他にもいるようだ。まぶしいライトとともに現れたのは同じように池から星を撮りにきたという地元の方だった。
写真に時折写っている人影や赤ランプはその方のもの。ここは初めての訪問なのだという。自分は星や夜景を撮ることもほとんどないため知らなかったが星撮影で有名な長野県某所よりも良いと驚きながらシャッターを切り続けていた。

大鹿村天空の池2006tenkuunoike03.jpg

広大な夜空を見上げながら星の名前や星座についてほとんど知らないことに気がついた。宇宙の謎や宇宙開発には詳しいくせになぜか星座には関心がないための知識はさっぱり、先程の方に伝授され始めて天の川の存在に気がつく無学っぷり。

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先ほどの方は二時間程で山から降り、再び山上に一人となった。他者が星の撮影中、ライトや灯りで光景を照らすのは御法度だ。わずかな光が他者の画角に入るだけで撮影中の星写真が台無しになってしまう。
今回はこの広大な空間に再び一人となった。そのため誰の邪魔もせず夜の天空の池の空間を自在に使い好き勝手に写真を撮ってみた。まだまだ撮り足りないが、気温は低下、さらに肝心のレンズが結露で使用不能、これ以上まともな写真が撮れそうもないため断念。

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早朝4時起床。
車中泊をしていた車の窓から外を眺めると今日の好天を予感させる真っ青な空が上空に広がっている。この季節には珍しい澄み切った空気。夏場は靄がかかることが多い中央アルプスの峰や残雪がくっきりと見える。

ドアを開けて外に出ると身体が冷気に包まれた。天空の池の標高は2,000m。周辺に広がる高山の植生を思わせる池塘は朝露で濡れているため長靴で徘徊。これも過去何度かの車中泊で経験を積み学んだこと。やがて東側に位置する黒河山の稜線から朝日が昇り、影となっていた天空の池にも日が射し込んだ。

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朝の斜めの光線が緑の丘陵とダート道をより立体的に浮かびあがらせる。池は小雨の影響でしばらくのあいだ干上がった状態が続いたようだが、梅雨の時期だけあって水位は満水、風は微風で湖面は鏡面に近い状態となっている。



池の縁ぎりぎりに車やバイクを停め、伊那谷方面の光景を背景に湖面への写り込み写真を撮るのがここでの定番。車を置き一人で鏡面写真を楽しみ、静まりかえる無人の空間を独り占め。

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天空の池で鏡面写真を撮りたい方は風が弱く順光となる早朝〜午前がおすすめ。午後は逆光となり(シルエットも良いのだが)、特に夏場は雲が発生しやすい。そして最大の理由はこの時間帯は池への訪問者がまだ少ないことだ。最近は訪問者が急増、混雑時には撮影の順番待ちまであるとか。今年はアクセス路の開放期間が短いためさらなる混雑が予想される。

2015年春、「天空の池」で検索した際にはわずか2件ほどのサイトしか見つからなかったこの場所、当時このサイトでもそのマイナーさからジャンルを「マニアックスポット」と定義していたが、わずか5年で大鹿村公認の人気観光地となるとは驚きだ。先述した天空の池林道整備もさらなる観光地化を目指す村の思惑だろうか。



ここは池だけではなく周囲の光景もおすすめ。大台ケ原を彷彿とさせる立ち枯れた白い木や倒木が点在する周囲の丘陵で簡単な山歩き気分を味える。

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池の畔でくつろいでいるとタイヤが砂利を踏む音が近づいてきた。やがて何台かの車やバイクがダート坂を登り切り続々と草原に現れた。天空の池の一日が始まる。長居は無用だ。
この光景を他の方に明け渡すべく早朝8時には池を後にした。昨夜の雨で砂利の路面が締まりさほど問題もなく、対向車も現れず入口へと復帰した。



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天空の池から30分ほど。同じ大鹿村内、細い林道を伝った山の斜面にまったく違う趣を持った別の池がある。天空の池が野性味溢れる開放的な空間だとすれば、こちらの池は秘められた神秘的な空間だ。

標高1,200mほどの斜面に位置する原生林に包まれた森。苔に覆われ緑色となった巨木、巨石、朽木。緑の光景が広がる鞍部に池というほどのものではない小さな水たまりがある。車を停めた林道からわずか30秒。池を示す看板も見当たらず注意を払わなければその存在に気がつくこともない。


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苔むす巨岩が複雑に折り重なる森、その中央にある小さな池。
池には石が組み合わさった「島」のような場所がある。島からは枝分かれして伸びる木々。その木々を映し出す水鏡のような水面。あまりにバランス良く組まれたこの空間。今まで自然の池だと思って訪れてきたが、実は人工的に組まれた庭園の跡なのだろうか、と思わず考えてしまったほど。

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それにしてもここは明瞭な池と言うよりも湧き出した水が鞍部にたまった水たまりといった印象だ。降雨によって水位が変動、渇水時には消滅することもあるのかもしれない。訪問時は水際周囲の平坦な箇所には足が沈み込む泥が広がっており最大時には面積はさらに広がりそうだ。

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静まり返った池を包み込むひんやりとした朝の冷気で眠気が覚めた。



坂を上り辿り着く度に今回こそ、最後の訪問にしようと思いながらつい訪れてしまう天空の池。
天気予報によれば好天も本日まで。明日からは雨予報が続く梅雨の日々。貴重な梅雨の中休み、新月と共に良いタイミングに天空の池を訪れることができた。

[了]
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