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●2021年1月某日/消えゆく街と残る街、東西再開発の光景

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朽ち果て忘れられた廃空間を眺めると同時に、新しく産み出される空間を眺めるのも好きだ。
以前より大阪を中心に再開発の現場を徘徊、手元には写真が貯まってきた。
しかし棄てられた空間と違い、対象は目まぐるしく変化していく光景。
そのため掲載タイミングも難しく、特にアップするつもりもなかったが
時期と場所を絞って2019年から2020年冬にかけて見た
各所の光景をいくつかピックアップ。残り続ける景観と共に掲載。


photo:Canon eos7d 15-85mm

【岐阜駅編】
冬の某日、東海道線で岐阜駅前へと降り立った。寒風吹きあれる駅前北口広場には人の気配はほとんどない。
駅前道路を跨ぐ歩道橋から見下ろすと車道を走る車もごくわずか。今日がたまたまなのか、それともこれが日常の光景なのだろうか。

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駅前に列ぶ古びたビル群。その多くは都市計画区域の対称となっており、実際に再開発が決定すれば立て替えられることになると思われる。

そんな岐阜駅前でひときわ目を引くのは正面に立ち並ぶ派手な看板が所狭しと貼り付けられた古びたビル。一見ひとつのビルに見えるが実はいくつかのビルの集合体だ。

岐阜駅前2012gifu03.jpg

ビル壁面の大型モニターからは、ほとんど人の気配のない駅前に向かい大音量で広告が流れ続けている。一方で振り返ると見上げるような新しいタワーマンション。新旧の光景が混在する岐阜駅前に有名な繊維問屋街がある。



かつて隆盛を極めた岐阜の繊維業、その最盛期に作られた繊維問屋街。しかしそのほとんどの店のシャッターが閉じらており、以前から廃墟系スポットとしても一部の界隈で知名度が高いた場所のため、後述する名古屋駅徘徊ついでに岐阜駅を訪れたのだった。

古びたビルに挟まれた一角に商店街を思わせる繊維問屋街が口を開けている。薄暗い通路へ足を踏み入れた途端、意外にも多くの人影を感じたものの、全てマネキンだった。冬晴れにも係わらず天蓋型アーケードがあだとなって薄暗い通路の両側をシャッターが閉じられた無数の店舗が埋め尽くしている

岐阜繊維問屋街2012gifu06.jpg
岐阜繊維問屋街2012gifu08.jpg

とはいえ平日だったためかわずかながらも開かれている店舗もあり、また業者と思われる人物やトラックが出入りしている光景も目にし、繊維問屋街は決して無人という訳ではなかった。
また開業したばかりと思われるカフェもあり、世間で唄われているような廃墟街と呼ぶのは少し大げさだ。

岐阜繊維問屋街2012gifu07.jpg
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茶褐色の屋根が続く岐阜駅前の街並み。その中に割り込むように横たわる灰色の巨大な壁面。
元々は繊維問屋街の建物が密接していたようだが裏手に再開発の複合ビルが建ったことで一部が剥がされ壁面が露わとなったようだ。かつて池島炭坑で見たアパート群の光景によく似ている。



【名古屋駅編】 
2027年の品川・名古屋間の開業を目指しリニア中央新幹線名古屋駅の建設が急ピッチで進められているJR名古屋駅周辺。解体〜再開発、そんな現場を再び訪れまもなく消滅する街区を徘徊した。



これが名古屋駅の光景だ。
JPタワーJRゲートタワー建設現場1402nagoyanorth14.jpg

以前は低層ビルで埋まっていた駅前。しかしタワークレーンが設置され200mを超える超高層ビルがみるみる建設され三大都市にふさわしい洗練?された名古屋駅前。
中央に建つ円錐形のモニュメント「飛翔」は今後撤去、再整備されることで景観にさらに磨きが掛かる。

名古屋駅東口の飛翔2012nagoyaeast04.jpg
名古屋駅西口の風景比較2012nagoyawest01.jpg

さて駅を挟んだ反対側。2020年12月某日の名古屋駅西口の光景。雑居ビルや派手な看板が乱立、洗練された東口と雑多な西口、表と裏とも表されるように名古屋駅を挟んで対称的な街並みが広がる。

上記写真の西口光景、名古屋市に居住していない方にとっては名古屋をイメージさせるお馴染みのものではないのだろうか。自分自身も名古屋駅に停車中の新幹線の車窓からいつも見えるのが高層ビルが建ち並ぶ東口ではなく、西口の光景だったため、名古屋市のイメージはこの写真に代表される雑然としたものだった。



さてその名古屋駅西口では現在無数の中小雑居ビル、民家を街区をまるごと消滅させる大規模な解体工事が行われている。その理由はリニア中央新幹線名古屋駅。そのほとんどが地下工事だが、地上部でも駅建設に伴う工事用地用の取得、再開発に伴う解体工事が佳境となっている。

リニア中央新幹線名古屋駅についてはかつて詳しく紹介した事があった↓

名古屋2015contentnagoya.jpg

当時、リニアに関する情報はほとんどなく自由研究的に調べ歩き回ったもの。着工前でリニアの影も形もなかったがその後、ついにリニア名古屋駅の工事が着手、用地買収と解体工事が一気に開始された。

名古屋駅西口リニア工事解体再開開発現場2012nagoyawest09.jpg
名古屋駅西口リニア工事解体再開開発現場2012nagoyawest10.jpg

リニア名古屋駅は新幹線、在来線ホームと垂直に交わり地下深くに設置される。名古屋駅西口の一部はその予定地の上に位置している。
新幹線ホームから最も目に付く黄色の建物、K予備校。築年数も浅い新しい建物だがリニア名古屋駅のほぼ直上に位置するため解体対象となった。南側にあった式場を解体、その跡地に代替ビルを建設、碁盤の目を動かすように権利交換が行われる。



改札を出て西口裏へと回り驚かされた。隙間なく埋め尽くす雑居ビルと付随する派手な看板が所狭しと乱立していた西口裏は、更地が広がるこざっぱりとした空間へと変貌していた。

名古屋駅西口リニア工事解体再開開発現場2012nagoyawest04.jpg

解体対象となったビルは出入り口をフェンスで封鎖、屋上看板が消され、防音パネルや防音シートに覆われていく。再開発定点観測中の解体現場でみるおなじみの光景。
一棟一棟間引くように雑居ビルが消滅、手前からじわじわと更地が広がっていく。密着する建物が剥がされることで普段見られないビルの裏面が露わになっていく。通りに面する表と違い、人目につかない裏側は雑な作りのビルが多いことがわかる。



中央のビル群も看板が外され、解体用の覆い設置工事の最中だった。下記の写真に写っているビル群は全て撤去されると思われるため、これらの建物が消滅すると次の建造物が作られるまでのわずかな期間、名古屋駅までが見通せることになりそうだ。

名古屋駅西口リニア工事解体再開開発現場2012nagoyawest02.jpg
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リニア中央新幹線名古屋駅予定地1502linearnagoyastamap.jpg

リニア中央新幹線名古屋駅予定地の地図。かつて見学した都市模型に合成。現在地は「リニア名古屋駅予定地」と書かれている白抜き文字のあたり。



名古屋駅から徒歩1分の一等地でありながら、小さな土地が入り組んでいた名古屋駅西口。戦前から続くその複雑さと特殊な業態故、誰も手を出せず永遠にこの光景が続くと思われたが、一挙に消滅することになるとはリニア計画が浮上するまで思いもよらなかった。駅西の変化としてはおそらく戦後最大規模だろう。

名古屋駅西口リニア工事解体再開開発現場2012nagoyawest06.jpg
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手前の更地になった部分にもかつては民家や雑居ビルが林立していた。道路を挟んだ反対側にある神社でも敷地の一部がリニア用地にかかるため、本殿の移設が行われたばかり。

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解体が行われる一方で西口の再開発の区画外にはリニア開業を見込んでか高層のビジネスホテルが次々に開業している。また周囲には再開発でおなじみの土地暫定利用と思われる駐車場も多い。

このように解体作業は順調に進んでいるように見えるものの、再開発の正確な範囲、またリニア開業後の名古屋駅西口街のグランドデザインは未だ明らかになっておらず。どちらにせよ新幹線が名古屋駅に停車する際に必ず目にする雑多な西口の光景はまもなく消滅する。



一方、名古屋駅東口の一部でも大規模な解体が行われている。

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新幹線、在来線とほぼ垂直に交わるリニア名古屋駅地下ホームは東側にも及ぶ。雑居ビルが密集する西と違い、大型のオフィスビルやホテルが並ぶ東の解体は広大かつ高層だ。西口のように複雑ではないが、個々の作業は大規模となる。

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東口の解体はまず手前にあったレトロなTビルから行われ、ビル街にぽっかりと大きな空間が広がった。この空き地はリニア名古屋駅の地下工事区画として暫定使用される予定。その背後にあるストライプのラインが特徴的なMホテルは閉鎖、解体後、少し離れた場所で建設中のビルに移築される。

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さらに解体が決まった茶褐色のDビルに至っては区画が非常に長く複雑に伸びているため、解体後は広大な更地が現れると思われる。



リニア予定地地上部の中心を歩く。日も当たらないビルの谷間、そこに民家や山門移転が行われたばかりの寺などで埋まっている。左手のDビルは解体準備中。一方で解体ばかりではなく開業後を見込んでか、新たに建て替えられるビルも。解体ばかりではなく新築も混在するカオスのような通路。

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様々な思惑が入り交じり、西口と違い別の意味で複雑なのが東口再開発、リニア開業時にはどのような姿に変化するのだろうか。

久しぶりに紹介した名古屋駅リニア駅工事。名古屋駅駅を挟んで光景が変わる東口と西口、表と裏。
このように駅を挟んで光景が一変するのは名古屋駅に限った話ではない。それが東京駅だ。


【東京編】 

都心では各拠点の競争が激化、互いに打ち勝とうとしのぎを削り再開発が行われている。
時系列は前後するが街の変化の定点観測を行っているいくつかの場所を
ピックアップして紹介。


●東京駅八重洲再開発事業

東京駅、大阪梅田駅、名古屋駅。これらの共通点は駅舎を挟み一変する街の雰囲気だ。梅田北ヤード倉庫が埋めていた大阪駅裏はうめきた1期2期再開発によって生まれ変わろうとしている。超高層ビルが建ち並ぶ表側と対称的に雑居ビルが密集していた名古屋駅裏はリニア開業を目指し現在大規模な解体工事中。

そして東京駅。ここ10年で東京の玄関口にふさわしい高層ビル街へと変貌した丸の内、しかし反対側の八重洲口は雑居ビルや看板が乱立、昭和の雰囲気を残す場所だった。そんな八重洲側の光景は10年以内に一変する。

八重洲2丁目北地区建設現場2003tokyosta.jpg

先陣を切って着工した245mの八重洲2丁目北地区。
その建設現場を俯瞰する。多くの建物が密集していた区画を開発。解体工事、地盤整地、そして鉄骨の組み上げが始まった。やがてこのビルを挟みこむように同規模の超高層ビルが建てられる。

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上棟も待たず、隣ではさらに上回る規模の高さ250mの八重洲一丁目東B地区事業が早くも始まった。まずは解体に先立って、広大な街区がバリゲートで封鎖された。



●虎ノ門麻布台プロジェクト建設現場

超高層ビルにおいて現在、海外では300mを優に越えるスーパートールと呼ばれるサイズが主流となっている。しかし日本ではあべのハルカス竣工まで長らく300mの壁を突破できなかった。しかしこのプロジェクトはハルカスを上回る超高層建築物となり高さ390mの常盤橋プロジェクト、Torch Tower竣工までのわずなか期間、日本一の高さのビルとなる。
虎ノ門麻布台プロジェクトが建設されるのは俄然坊谷と呼ばれる谷底を中心とした地域。

虎ノ門麻布台プロジェクト2018contentazabudai.jpg

谷底に古びた低層住宅が密集する不思議な光景に惹きつけられ定点観測を続けてきたが昨年、俄然坊谷はついに封鎖され立ち入ることはできなくなった。

虎ノ門麻布台プロジェクト2003tokyoazabudaia.jpg
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クレーンが乱立する広大な虎ノ門麻布台プロジェクト現場を一周する。谷間を埋めていた建物のほとんどが解体されたため、俄然坊谷が作りだした本来の地形を目の当たりにできる。工事の進捗は早い。地盤を強化し基礎が作られるとタワークレーンが設置され鉄骨の組み上げが始まる。谷自体はまもなく消滅することだろう。
 

●虎ノ門ヒルズステーションタワー建設現場

街区まるごと作り替えるのが東京の再開発の特徴だ。この現場を埋めていた10数棟の中小ビルは余すことなく消滅、現在は何もない空間が広がっている。背後に建つ三棟の高層ビルは竣工したばかりのビジネスタワー、建設中のレジデンシャルタワー、そしてそれらを従える虎ノ門ヒルズ。

虎ノ門ヒルズ虎ノ門ヒルズステーションタワー建設現場2003tokyotoranomon.jpg

右手前にはこれら三棟を上回る高さ約265mの虎ノ門ヒルズステーションタワーがそびえることになる。建物解体は高密度の都市にぽっかりと空間を空け、次の構造物が建つまでのわずかな期間、今しか見られない光景を提供してくれる。


●都心の高低差

東京の都市計画にも弱点が存在する。それは高低差。武蔵野台地の東端が海へと落ちる場所にあった江戸では起伏に沿って道、掘、城が作られた。江戸防衛ラインとしては正解だったのかもしれないが、大阪のような碁盤の目にそって街区が列ぶ計画的な都市計画ができず、現在においても道路、鉄道、境界線が放射状に広がっているため移動や町づくりを困難にさせている。

宮村児童遊園2003tokyo.jpg

そんな高低差が作り出す都心の光景。
急勾配の坂を登った先にある某公園は都内で自分が好きな場所のひとつ。谷底に密集する低層住宅、台地上にそびえる六本木ヒルズのミスマッチな組み合わせは高層ビル、雑居ビル、民家が区画分けされることなく混在する混沌都市らしい光景の象徴ともいえる場所。


●渋谷再開発

その名のごとく谷底に位置する街。谷を流れる川を暗渠に押し込め街を作り90年代に文化面で最盛期を迎えた渋谷。その後停滞が続いていたが渋谷だったが、近年巻き返すべく大規模な攻勢に出た。

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ヒカリエ、ストリーム、そして中心にそびえるスクランブルスクエア開業。さらにその足元には次の再開発を待つ土地が広がっている。やがて解体される百貨店、そして無数の雑居ビルを解体し更地となった広大な更地。途切れることなく、次の建設がはじまることになる。

[了]

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