●2021年11月某日/晩秋の高原、廃車と秋。
- 2021/12/12 22:22
- Category: マニアックスポット

緩やかな丘陵が続く長野県の高原地帯。
紅葉したカラマツに覆われた秋の光景広がるその一画にひっそりと佇む廃バスがある。
おそらく不要になったバスを譲り受け農業資材置き場として使用されていたが
時を経て朽ち果てていったものだろう。
紅葉したカラマツと風になびくススキに包まれた長野山梨県の山間部、
晩秋と廃景の組み合わせが作り出す光景を徘徊した。
photo:Canon eos7d 15-85mm
農地と廃車の組み合わせは特に珍しい物では無く田舎道を走れば畑の片隅に古びた車が置かれている光景はよく目にするもの。おそらく廃車として棄てられる予定だった車を農機具置き場として再利用しているのだろう。とはいえまともに使用されていると言うよりも放置さえているものがほとんどで錆び付いた旧車は農村風景の中で良いアクセントとなっている。
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2021年晩秋。長野県高原地帯。広大な山裾に農地が広がるこの一帯で農機具置き場として使用されているものはなぜかレトロなバスが多い。

一つ目の廃バス。標高1500m近い丘陵の片隅に車体はあった。既に農作物の収穫を終えた茶褐色の高原には見渡す限り人の気配は無く周囲は静まりかえっている。そんな丘陵の一画で色褪せた車体は静かに車体を沈めていた。



廃バスは平坦な地形ではなく段差を持った丘陵の一画に棄てられているため様々な角度から車体を眺めることができる。ガラスは割れ塗装ははがれ落ち錆び付いてはいるが、遠目からは田舎のバス停に停車しているだけのようにも見える。


冬間近の長野県。紅葉はすでに近辺まで下ってきており農地を囲む山裾は色づいたカラマツの林で覆われている。明るいオレンジ色の光景に包まれる晩秋の丘陵、これが緑に覆われる夏場ならばまた違った雰囲気の光景を見られたことだろう。反面、夏場にかけての農作業繁忙期には農家の軽トラで埋め尽くされ落ち着いて廃バスを眺めることは難しかったに違いない。

割れた窓からは車内には農機具や出荷用の箱のようなものが所狭しと座席に詰め込まれているのが見える。とはいえ使用されている気配もなく、退役したバスを譲り受け資材置き場として利用されてきたが現在は役目を終えたのだろう。
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同じように収穫が終わり茶褐色の地面が剥き出しになった農地に置かれたままの廃バス。バスの知識はまったく持たないが突き出た電飾ライトや丸みを帯びた車体といい遠目にもレトロ感がある。さらには乗降口が側面一箇所しか見当たらず先ほどの廃バスよりはさらに古い時代のタイプに見える。




前面へと回るとフロントガラスがすべて消滅しているためさらに荒廃した雰囲気となっていた。失われたフロントガラスに加え、へしゃげたタイヤは土に埋もれバス全体が地面にめり込んでいるためバス内部が手に取るように見える。
内部を覗き座席配列に驚かされた。資材が混在しているためわかりずらいが座席同士が向かい合っており昔の映像でよく見る三方シートと呼ばれる配列。


最初のバスと違いこちらは車やツーリング中のバイク、自転車が時折通り抜ける割と人目につく場所にあるためか、検索してみるともそれなりに訪問者もいるようだ。また周辺ではバスだけはなく畑に置かれた貨物列車のコンテナも見ることができた。
ここから遠方に見える県境の峠を越え次のポイントを目指す。
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高原のバス廃車に続き秋の山間部での廃校探し。山梨長野県境一帯は廃校の宝庫でもあり2012年頃にも徘徊したことがある。その際、立ち寄った某分校跡。当時から荒廃していため8年近くが経ちさすがに解体されただろうと思っていたがまだ健在だった。
梢の先端に宿り木を有する大木の下。学校というイメージからはほど遠い山小屋のような外観の廃屋が佇んでいる。大小含め数多くの廃校を訪れたがここは分校ということもあってか極小の部類に入るのではないのだろうか。


秋の日差しとススキに包まれるこじんまりとした校舎は一見良い雰囲気に思えるが、その周囲はひっつき虫と呼ばれる野草の群生地となっており危険を伴う。校舎脇から車へと戻り改めて自分の体を眺めると服には無数の種子がびっしりと貼り付き一体どうやって除去しようかと途方にくれてしまった。



続いて二つ目の廃校を目指す。廃校は対向車もまったく現れない無名の峠を越えた先にあった。小さな集落片隅で秋の色彩に包まれる木造平屋。一見民家に見えるがこの建物は大正期の分校跡だ。先ほどの廃校と違い閉校後もなんからの施設に流用されているようだったので遠目に望む。

今回は訪れなかったがこの周辺は廃校が多い。下記写真は2012年頃に撮影した近隣に残る廃校。

今回紹介した場所以外にもストリートビューで見つけ訪れたいスポットが近隣にあった。しかし種子の除去に手間取ったりしているうちに秋の日は西へと近づき時間切れ、叶わなかった。
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最後に廃墟ではないが今回の徘徊ついでに訪れた佐久市郊外にある家畜改良センターの建物を掲載。


明治期に開設された作られた牧舎であるが、木造校舎を思わせる外観や周囲の広大な丘陵の組み合わせが青森や北海道でよく見るタイプの廃校に似ており好きな場所のひとつ。ここは以前から様々な季節に訪れてきたのでいずれ紹介しようと思う。
[了]
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