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●2023年夏某日/最果ての地。消えゆく下北半島廃校群

  • 2023/11/19 22:22
  • Category: 廃校
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青森県東端に伸びる半島、下北半島。
広大な草原、荒涼とした台地、さらに廃校の宝庫ともいえる秘境感溢れる下北半島に惹かれており
北海道を車で訪れる際は大間〜函館ルートがある下北半島を必ず通過することにしている。
そんな下北半島を最後に訪れたのは2016年、各所に残された廃校となった木造校舎を徘徊した。
その後それらの校舎は順に解体が進められているようで、みるみる数を減らしているようだ。
公開されている解体スケジュールを見る限り残り数年で校舎は一掃される可能性もある。
2023年、その広大さ故、当時回りきることができなかった残りの廃校探しを行った。
しかしこの7年間に解体も進みその姿を見ることができたのは予定地の半分程度となった


前回の徘徊記録

※本記事は訪問時のものです。現在の状況は異なっている可能性もあります。

青森県下北半島尻屋崎灯台2308aomorihaiko0103.jpg

2023年夏、青森県下北半島尻屋崎。岬先端に広がる草原に白い灯台が建つ。
青森県3大岬、大間崎・尻屋崎・龍飛崎。ここから50km程先にある本州最北端大間崎は平坦な土地に民家や土産物屋が迫り秘境感は感じられないが尻屋崎は違う。灯台以外何もない荒涼とした立地。そんな雰囲気に惹きつけられ青森県を訪れると龍飛崎と共にとりあえずここを訪れてしまう。



下北半島中央部に残る廃校校舎。現れた校舎は予想以上に大きく、そして立派だった。その大きさ故かなり引かないと全容を捉えることが出来ない。

青森県むつ市の廃校第二川内小中学校2308aomorihaiko0106.jpg

校庭はトンボが気ままに飛び交る広大な草原と化していた。校舎全体が収まる場所を求め、背丈程に生い茂る草むらをかきわけ下がっていく。足に張り付く無数のバッタを払いのけながら進みようやく校舎の8割ほどがレンズに治まった。それにしてもほとんどの写真にトンボが写っている。

青森県むつ市の廃校第二川内小中学校2308aomorihaiko0101.jpg

農地や荒れ地が続く台地上に廃校舎はいきなり現れる。周辺には1棟の民家すら見当たらない。当時は周辺に集落でもあったのだろうと、帰宅後過去の空中写真を検索してみるが1970年代まで遡っても周囲は畑だけ。これだけの巨大な学校を維持するだけの子ども達はどこから現れたのか。



空中写真を改めて眺めると学校から少し離れた等距離に似たような規模の2つの集落がある。なるほど、学校を開設するにあたり両集落からの通学距離が平等になるよう、何もない中間地点が選定されたのだろう。
こういった事例は時折見られ、半年ほど前の極寒の真冬、登山の末発見した紀伊半島山中の廃校も、谷底の2つの集落中間点ということで切り立った尾根上に立地していた。

青森県下北半島の廃校2308aomorihaiko0105.jpg
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昇降口があったのは停止したままの時計が据えられた校舎中心のあたり。
遠目には真上の屋根が抜け落ちているのが見えるが、影響は二階だけだろう。と思いながら建物に近づき、正面入口の薄汚れたガラス越しに見た昇降口は荒廃した空間となっていた。吹き抜けとなっていたため、抜け落ちた屋根の構造体が二階諸共一階までを埋め尽くす。

青森の廃校2308simokita0301.jpg

閉校記念のメッセージ、そして最も奥には展示品だったのか船のようなシルエットも見える。
現在は朽ちゆくままになっている廃校だが、その規模故か竣工時はかなり凝っていた構造だったことが装飾等からもわかる。また建物はこれだけではなく、裏手には体育館も残されている。



下北半島のすごさはこの規模の木造校舎の廃校がいくつも現れることだ。現在地の南西沿岸部には同規模の廃校が点在(訪問した2016年当時)、それらはいずれも避難所として校庭が開放されている。そんな下北半島廃校群だったが訪れる度にその数を減らしている。

2308aomorihaiko0102.jpg

廃校からしばらく車を走らせると小さな集落があった。集落内の細い路地を通過中、路肩に座りたむろする数人の老人達がいたので最徐行で通過、その際車の窓を全開にしていたので、彼らの会話が耳に入った。
田舎でよくある(自分の田舎でもある)見慣れぬ通過車のナンバーチェックが行われたようで「こりゃとんでもないところから来た車だ。」という老人同士の会話が聞こえてきた。
続いて「ありゃ○○さんの孫が帰省したに違いない。」という言葉が耳に入りその見当違いの内容に思わず微笑んでしまった。あの老人達は先ほどの学校に通っていたのだろう、話を聞いておけば良かった。



この廃校近くには鉱山跡もあるため、ついでに寄る予定だったのだが時間切れで叶わず。夏の太陽は次第に傾きやがて陸奥湾に夕日が沈んでいった。

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翌日も下北半島で廃校探索の続きを行った。過去に訪れた廃校の多くが解体され、また今回訪問を予定していた廃校も2棟を残し解体されすでに更地となっていた。

下北半島においては特に中央部に位置するH村で廃校解体スケジュールが公開されている。それを閲覧する限りでは数年内に「廃校の宝庫」と名付けた下北半島から木造校舎は一掃されることだろう。とはいえ老朽化した校舎の維持費の捻出も困難でこればかりは仕方がないとドライに思う。

[了]

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