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●2013年1月某日/隠れ谷、小笠山六枚屏風

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静岡県の中央には小笠山と呼ばれる標高200mほどの低山がある。
その尾根の間に隠されたかのように存在する深いゴルジュ、その名を「六枚屏風」と呼ぶ。
偶然地元の方に案内していただけることになり冷え込んだ1月の早朝、
耐寒装備万全でかけることになった。

photo:Canon eos7d 15-85mm


標高の低さとは対照的に険しい地形で知られる静岡県の低山、小笠山。
深い谷、断崖が複雑に入り組む最深部へと入り込んでいく。



当初は簡単な登りからはじまった。車を停めた林道から歩き始めてわずか20分ほどで小笠山山頂に達する。しかし今回は登頂が目的ではないので山頂は通過点、立ち寄ることもなく通り過ぎ深い谷間へと下って行く。しばらく登山道を下ったあたりで道から外れ急斜面を降りて行くようにとの指示。特に看板もなく同行者がいなければ見つけられないような場所。枯葉に足を滑らせながら倒木に掴まり道なき道を下り続け深い谷底へと到着した。



この場所、日も当たらず湿気が多いためか繁殖している植物の多くはシダ系もの。同行者が指を指すその先にはぽっかりと穴を空けている洞窟の入口のような不気味な空間。

小笠山の六枚屏風201301ogasayama01.jpg


穴というより極端に縦長の岩の割れ目。この谷が今回の目的地「六枚屏風」。
ではさっそく足を踏み入れよう。草をかきわけ両幅1mほどの狭い岩の隙間へ体を滑り込ませると冷気が一気に体を包み込んだ。冷え込んだ本日、到着するまで冷たい山中を歩き続けたが隙間の寒さはそれ以上。まるで凍り付いているかのよう。



少し進んだ辺りからすっぱり切れ落ちたかのような入口を振り返る。

小笠山の六枚屏風1301rokumai003.jpg
小笠山の六枚屏風1301rokumai004.jpg



促され、さらに奥へ進んで行くとわずかに残っていた入口からの明かりも消え周囲は闇に包まれた。やがて目が慣れると周囲の光景が浮かび上がってくる。谷というよりは回廊のような深いゴルジュ。見上げると覆いかぶさるような壁の上には切り取られたような空と森。

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小笠山六枚屏風201301ogasayama05.jpg

小笠山六枚屏風201301ogasayama02.jpg
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目の前に続く「壁」は一枚岩というわけではなく、ぎっしりと詰まった丸い小石で形成されている。試しに素手で触ると凍り付くような冷たさ。

足下には水が流れたような痕跡が残されている。六枚屏風と呼ばれる谷は山頂直下から流れ出る水脈が長い年月をかけ柔らかい岩肌を削り続けできた深い水路なのだ。
壁を形成する丸い小石、礫岩がそれを物語る。はるか時を遡れば小笠山自体が川の底であった。川が隆起しできた現在の現在の小笠山には柔らかい礫岩主体のため、水流によって容易に削られこのような深い谷やゴルジュが至る所に形成されている。



どうやってこの隙間に流れ込んだのか巨大な流木が何本も身動きもできないほどの狭い空間に引っかかっている。ここしばらく降雨がないため枯れている六枚屏風も一旦雨が降れば水が一気に流れ込み激しい濁流に飲まれることだろう。

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奥を歩いている同行者の後ろ姿からこの回廊のだいたいのスケールはつかめるのではないか。
この辺りから両幅は急激に狭さを縮め、流木を乗り越えさらに奥へと歩いていく。一体どこまで空間は続くのか。

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ついには両側から迫る壁はわずか30cmほどとなった。壁の冷気を直に感じるわずかな距離。背負ったリュックが両壁と引っかかりこれ以上の前進は不可能。隙間に荷物をデポし、身軽になって体を滑り込ませる。


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冷たい壁を掴みながら体を引き上げると唐突に視界が広がった。狭い暗渠から一転、目の前には冬の日差しが降り注ぐ明るい沢が広がっていた。振り返ると抜け出したばかりの六枚屏風がまるで暗い穴のように口をあけていた。

距離自体は短かったものの、非常に魅力的な場所だった。入り組んだ尾根、複雑な地形が広がるこの小笠山、まだ未知なる谷が隠されているかもしれない。


[了]
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