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●2013年3月某日/海洋調査船「ちきゅう」

201302funetop.jpg
日が沈んだ時間帯、海沿いのバイパスを走行中彼方に輝く高層建築が見えた。
高層マンションかと思いきや、それは海洋調査船ちきゅうの掘削用デリックの姿だった。
あわてて高架を降り駆けつける。


photo:Canon eos7d 15-85mm


眼下に岸壁や倉庫街が広がる港湾地帯を走る夜のバイパス。
闇に沈む倉庫やコンテナの遥か彼方にライトアップされたかのように煌々と輝くビルのような高層建築が見えた。知らない間に高層マンションでも建ったのだろう。それにしてもこのような人気の無い港湾地帯、果たして購入する人はいるのだろうか。

ハンドルを握りながら思わず妄想してしまったのは村上龍氏の「愛と幻想のファシズム」という小説だ。
ストーリーには主人公一味が東京湾倉庫街に建てたとされる高級会員制クラブの巨大ビルが登場する。貧民街が形成された薄暗い東京湾岸のスラム一画で煌々と輝くそのビルに横付けされるリムジンからは着飾った上流階層の男女が降り立っていく。そして我々のような一般人は警備員に追い払われながらも、金網の隙間からライトアップされ輝くビルを名残惜しく見上げるのだ、という描写がなんだかぴったりな光景。



そんなくだらない妄想をしながら近付くに連れ次第に輝く物体の正体が見え始めた。よく見るとマンションでは無い。もちろん高級会員制クラブでもない。櫓のような形状。しかも海に浮かんでいる。船のようだ。ということは間違いない。海洋調査船ちきゅうだ!

立ち寄りを即決、ちょうどインターも目の前。カメラ三脚もたしか車内にあったはず。ところが車線変更が間に合わず目の前のインター逃してしまう。一旦真横までやってきながら「ちきゅう」が視界から遠ざかっていく。



次のインターでバイパスを降りると市街地を大きく迂回、30分あまり時間をロスしようやく対岸までやってきた。


海洋調査船ちきゅう201302chikyuu002.jpg

海洋調査船ちきゅう201302chikyuu001.jpg

漁船が停泊するさびれた漁港の対岸に輝く巨大な櫓。



近付いてみる。積み上げられたコンテナの間から掘削用デリックと呼ばれる巨大な櫓が伸びる。
その高さ121m。ビルにして30階建てに相当するという。海底にパイプを突き刺し遙か大深度まで掘削するためこの高さが必要になった。先ほど高層マンションと勘違いしてしまったのも納得の存在感。

201302chikyuu004.jpg


一本一本は軽いパイプも海中、さらに海底へと繋げていくとなれば総延長の重量は膨大なものとなる。その重量を支えるためにも当然構造物も大がかりになっていくわけ。

このような海に浮かぶ不安定な構造の建造物、その違和感にどこかわくわくさせられる。
子供の頃、ヨーロッパ北海で活躍する石油プラットフォームの写真にときめいたことがあったが、この歳になっても同じときめきを感じてしまう。相変わらず精神年齢は成長していないということなのだろう。


201302funet04.jpg
201302chikyuu003.jpg

船体全部へと移動。特徴的な船体から飛び出たヘリポート。一旦沖合で海底を串刺しにしたら数ヶ月は移動できないという。たしかに海底にパイプを突き刺している状態では動くに動けず乗員交替はヘリによって行われるのだそうだ。
聞くところによれば近々南海トラフでのメタンハイドレート掘削作業が行われる予定だという。その出航準備なのか夜の埠頭に響くエンジン音、その迫力に圧倒されてしまう。





やがて目が慣れると周囲の暗がりに蠢く怪しい人影に気が付く。工作員かと思い目をこらすとに岸壁にたむろするのは、夜釣り目的の数人の釣り人達だった。

彼らは船に何の関心も見せず黙々と釣り糸を垂れ続ける。
先日の福江島でもどうやって入り込んだのかと思わせる断崖にへばりつく釣り人達を多数目撃、さらには十数年前、ついに禁断の無人島へたどり着いたと意気揚々と軍艦島へ上陸したら淡々と岸壁から糸を垂らす釣り人達に驚かされたように
釣り人はどんな場所にも現れるある意味すごい存在だ。

[了]


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