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●2013年3月某日/旧マッケンジー邸

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戦前に建てられたという古い洋館が公開されているというので訪れてみた。
周辺のイチゴ狩り渋滞に巻き込まれなんとかたどり着いた建物は
静岡市の海沿いに立つ2階建ての洋館、マッケンジー邸。


photo:Canon eos7d 15-85mm



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陽光溢れる駿河湾を望む静岡市の海岸線。そんな抜群の立地に建つのは貿易商社に努めるアメリカ人、マッケンジー夫妻が建てた洋館。その名をとってマッケンジー邸と呼ばれている。
白い壁、オレンジ色の屋根のいくつかの建物の集合体。


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この建物はあの有名な建築家ヴォーリズの設計。彼の設計した建物は昔、滋賀県をうろうろしていたときよく見かけた。

さらにこの建物の竣工時期を知って少し驚いた。なんと1940年竣工。ということは太平洋戦争開戦までわずか。日米関係に暗雲立ちこめ対米感情が悪化しつつあったこの時期にこのような目立つ豪邸をよく建てることができたものだ。
1941年年末に真珠湾奇襲。アメリカ人のこの夫婦が実際にこの家に住むことができたのはわずかな時間しかなかったのではないのだろうか。



一階の大食堂壁面にあったモチーフ。
シンプルで直線的な形状が妙に気に入ってしまいしばらく眺めていた。

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この部屋にはマッケンジー邸完成当時のモノクロ写真が置かれていた。

駿河湾に面した海岸線の地形自体は現在とさほど変わらないが、驚くべき事にこの邸宅の周囲に建つ一般民家はすべて茅葺き屋根。そんな場所に作られたこの洋館は当時、圧倒的な存在感を放っていたことだろう。





全体的に薄いブルーやグリーンが多用されている水回り。ともすれば冷たい印象になってしまいそうだが窓から差し込む陽射しのせいか意外に明るい雰囲気だ。


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浴室やトイレと言った部屋には必ず暖房用のラジエーターまで設置されている豪華っぷり。





台所。キッチンといった方が良いだろう。室内にはアメリカンサイズの冷蔵庫や乾燥機のようなモノも残されている。
当時の日本にはとてもなさそうな立派な設備。こういった家電こそがアメリカの豊かさの象徴だろう。

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現在では当たり前の通信販売、アメリカでは戦前から盛んだった。雑誌を見た奥様の電話一本でこのような大型冷蔵庫や乾燥機が即座に自宅に配送されてくる。そんな当時の記録映像を見て驚いたことがある。当時の日本からはとても想像もつかないような世界。

大正の頃、山本五十六が滞米中最も驚かされたこと。ふらりと入った街角の喫茶店でコーヒーを頼むとなんと砂糖入れ放題なのだという。今では当たり前のこのシステム、貧しかった当時の日本では砂糖というものは希少品扱いであった。

アメリカの国力に驚かされた山本五十六、後の海軍大将は、その力を少しでも削減すべく滞米中、喫茶店での砂糖大量消費に努めたという。そんなエピソードからも伺えるように日米の生活力の差は軍事力の差以上に計り知れないものがあった。




外に出てみる。日差しが温かい冬の青空に生える白い壁、葉。

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白い壁、オレンジの屋根の色、アメリカというよりどこかスペインを感じてしまう外観。改めて説明を読むとやはりスパニッシュスタイルという当時流行していた様式なのだそうだ。




完成直後に日米開戦となってしまったこの邸宅。マッケンジー夫妻も開戦後アメリカへと帰国したという。他の在留米国人と共におそらく中立国経由の交換船によってアメリカ本国へ強制送還されたのだろう。

ところが戦後、夫妻は再来日し、夫亡き後も1970年代までこの家で余生を過ごしたと書かれていた。
よほどこの地とこの家を気に入っていたのだろうか。どこかほっとさせられる話しでもある。


住所: 静岡市駿河区高松


[了]

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