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●2000年春/パキスタン徘徊 Part.1〜ラホール編〜

  • 2013/07/26 22:30
  • Category: 海外
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初めての海外一人旅がイランだった。→LINK
出会った人の家に泊めてもらうことを繰り返しおもしろい思いをした旅から数年後、
バックパッカーとして隣国のパキスタンを訪れた。
同じイスラム国家でも隣国イランとはずいぶん違った印象を受けた3週間の短い旅。


photo:MINOLTA X-700 28mm/50mm/135mm


バンコク経由でパキスタン・ラホール空港に到着したのは夜11時過ぎだった。
深夜便での海外到着ほど心細いものはない。もちろん宿泊する宿も決まってはいない。

重いリュックを受け取り、空港の外へと歩み始めた。自らの足で見知らぬ国に踏み出すこの瞬間はいつも気が引き締まる。そんな緊張感と不安な気持ちが交錯しながらロビーのガラス越しに空港の外を見ると、電力不足のせいかほとんど明かりもない真っ暗な空港前には殺気だった多数の客待ちがうごめいていた。

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今となってから振り返ってみると朝まで空港内で仮眠すればよかったのだが、当時はそんな知恵もなく重いリュックを背負い人混みの中へと足を踏み出した。数秒後には殺到する客待ちにもみくちゃにされ、ぼったりタクシーによって怪しげな宿へ送り込まれることだろう。

そんな若者を見て気の毒に思ったのだろう、同じ機で到着したと思われる日本人が自分が予約済みのホテルに一緒に行くか?と親切にも声をかけてくれた。
他に泊まるあてがあるわけでもなく、親切に甘えることにしタクシーに便乗させてもらう。彼は多くを語らなかったがこの国へは何度も来たことがあるようでどこかこなれた雰囲気だ。ビジネスなのか、リュックなどではなくスーツケース。

薄暗いラホールの街を走りホテルに到着した。フロントの男は、予約もしていない小汚いバックパッカーに嫌悪感を抱いたようだったが、日本人の男は粘り強く交渉し部屋を確保してくれた。

さてフロントで料金を払う段になって価格に驚かされた。なんと日本円で一泊5,000円以上。とはいえ親切にもホテルへと連れていき、さらに交渉してくれた彼の手前、値切ることもはばかれ、闇の中改めて安宿を探す気もおこらずそのまま払うことにした。礼を言うと自分の部屋に入る。今までの海外旅では経験したこともない立派なベット、巨大な浴槽付き風呂。これはこれでいいか。たまにはこういう部屋に泊まるのも悪くはない。

翌朝改めてお礼をしようとフロントを訪ねるもあの日本人はすでに出発したと言われてしまった。残念だが広大なこの国ではもう出会うこともないだろう。



ラホール。

インドパキスタン国境に位置する古い街。雑踏、牛、車、大混雑の通りにクラクションが鳴り響く。

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昨夜のホテルに泊まるわけにもいかずチェックアウトすると旧市街を歩き、数件あった安宿のうちのひとつ、ホテルAに泊まることにする。こちらは一泊300円くらい。部屋もまあまあ、値段の割にそんなに悪くはない。なんと温水シャワーまである。これならばしばらく滞在できそうな宿だ。

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やがて日も傾き夜となった。
宿探しに歩き回ったせいか疲労もたまり、そろそろ寝るかと読んでいた小説をたたもうとすると突然ドアがノックする音が響いた。

こんな時間にいったい誰だ。不審に思いながら恐る恐るドアをあけるとフロントにいた浅黒いめがねのマネージャーが立っていた。用件を聞けば宿のオーナーがあなたに会いたがっているというではないか。寝ようと思っていたもののなんだかおもしろそうなので行ってみることにする。男を一旦部屋から閉め出すと念のためカメラを持ちポケットに財布を入れ部屋を出る。



連れて行かれた階下の大部屋にオーナーがいた。
これまたゆったりとした国民服がはち切れんばかりのでっぷりと太った浅黒い男だ。にこやかに握手を求めてくる。悪い男でもなさそうなのでこちらも手を握り返す。椅子に座るよう指示されチャイを出され、さて何のようだと身構えると英語で何か話し始めた。

どうやらこのホテルの自慢を始めたようだ。これぐらいの話ならば自分のつたない英語力でもなんとか聞き取ることができる。さらに彼は奥から古びたノートを持ち出して開いて見せた。のぞき込むとくたびれたページにはペンで書かれた英語の文章が並び、中には日本語もある。

オーナー曰くこのノートに今まで宿泊した大勢の客が感謝の声を綴っていったという。どうやらノートを客引き用の餌として使用しているらしい。
おまえもなにか書けといわれるが、到着したばかりだし書くこともないため、まずは読んでみようと何気なくページを開いた。英語は読む気にならないので日本語のページを探し開くと衝撃を受けた。

目につくような大きな日本語で「この宿は泥棒宿!」と書かれていたのだ。

その後もページをめくるたび「ここのオーナーは大嘘つき」
「このホテルは泥棒宿」「気がついたら金を抜き取られた」
「他のバックパッカーにも知らせてください」など日本人の悲痛な叫びが多数綴られているではないか。

腹立たしい気持ちを訴えるように殴り書きが多い。
オーナーは当然日本語の読み書きはできないので何が書かれているのかまったく知らず、日本人客がノートに書いた我がホテルへの賞賛の声だと信じ切っているようだ。英語のページにもおそらく同じようなことが書かれているに違いない。いやさすがに英語は読めるだろうから被害に遭うのは日本人だけなのだろうか。

どうだすごいだろうと頷きながら先を読むように催促する。そのうちぞっとする文章に出会った。

「まずオーナーに呼び出される。その間に合い鍵で部屋に従業員が入り込む」

あわてて、しかし気付かれぬよう静かにポケットを探る。よかった財布はあった。パスポート、航空券は首。カメラも持っている。残りは着替え、本、地図、未使用フィルムなど最悪どうでもいいものばかり。幸い到着しわずか二日目、撮影済みフィルムはまだ手元のカメラの中。



後に他のバックパッカーから聞き初めて知ったがパキスタンラホールは泥棒宿で有名な街。中でも今自分が泊まっているホテルAはアジアを行き来するバックパッカーの中でも名を馳せた泥棒宿なのだそうだ。

インド国境に位置するラホールはアジア横断には不可欠な街、しかしこのような噂もあってか旅慣れたバックパッカーは通過のみで宿泊はしないとのことで、逆によく泊まったねえと感心されたが知っていたら泊まるわけはない。また数年後、本屋で立ち読みした世界の危険地帯だとかいう本にも最も危険なホテル街と紹介されていた。無知とは恐ろしい。





俺の写真を撮ってくれというオーナーを適当にあしらい、部屋に戻りあわててリュックを調べるも変わった感じはない。まあ仮に部屋に侵入されたとしても着替えなんかには興味はなかろう。貴重品を持ち出していて助かった。

おそらくインドまでのわずかな距離がこの町ラホールの混沌さの原因だろう。
通貨交換、輸出入、そして密輸。後に訪れた国境の町ペシャワールもこのように混沌とした街だった。

それにしてもパキスタン到着翌日から油断も隙もない。こんな街は逃げ出すに限る。翌朝地図片手にバスターミナルを探し始めた。ところがどうやっても見つからない。聞いてみるとなんと数日前に移転したのだという。見つからないわけだ。




砂漠のドライブイン。
長距離バスから降り身体を伸ばし休憩しているととぼとぼと老人がやってきた。確かバスの向かいの座席に座っていた男だ。地面を指し自分を指しさらにカメラを指さし何か話し始める。

この世界も、おまえも、おまえのカメラもすべてアッラーが作った。
だからおまえもイスラム教徒になれ。

うーむ。あまり気乗りもしないなあ。これが他の国の人ならば一気に宗教論争が燃え上がるのだろうが、日本人は基本的に宗教心が低いためこういった話は盛り上がらない。

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ラホールから半日あまり、バスはようやくラワールピンディーという街のターミナルに到着した。
とはいえ泊まる予定の宿もない。さあどうしようか。イランではバスターミナルで途方に暮れていると大概親切なイラン人がやってきて、ホテルを探してくれたり家に泊めてくれたりもした。
期待していたわけではないが白いひげの老人が声をかけてきた。おまえは宿を探しているのか。ちょうどいいまあついてこい。

歩きながら自分のことを指さしベラベラと英語で話しかけてくるがいまいち言っていることが不明瞭だ。そのうち業を煮やしたのかなぜか持っている英語辞典をめくり始めとあるページを指さした。
彼が指さした先を読んでみると

「gay」

こんどはゲイか。いやあ心が安まらない。親切な人ばかりだったイランに比べ隣国パキスタンは怪しく癖のある人間でいっぱいだ。なんだかおもしろくなってきた。

[続く]
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