●2014年2月某日/伊豆の地下採石場、室岩洞

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太平洋に突き出た半島、伊豆と言えば一般人にとっては温泉観光グルメ。
アウトドア派にとっては波や海を楽しめるサーフ&ダイビングスポット。
珍スポットマニアには秘宝館をはじめとする怪しい物件の宝庫。
廃墟マニアには観光業の衰退が生み出した廃墟半島と
それぞれの趣味趣向によって頭に思い浮かべるその姿は様々。
それだけバラエティに富んだ密度の高い場所ともいえよう。
そんな伊豆には丁場と呼ばれる多数の地下採石場があったのはわりと有名な話だが
よく通過する西海岸の松崎あたりの丁場が公開されていると知りサーフィンの帰路立ち寄ってみることにした。

photo:Canon eos7d 15-85mm


伊豆山中を抜ける唯一の幹線道路414号、通称天城街道。
先日日本列島をおそった大雪の際、降り積もった雪が一週間過ぎてもいまだ溶けずに残っている。伊豆らしからぬ光景に思わず同行者達と雪原を走り回ってしまった。

雪は天城峠通過とともに消え去ったが、次の試練は河津桜渋滞。河津桜は多数の観光客を呼び込む季節の風物詩。しかし交通網が貧弱な伊豆南部では車両は天城街道に集中、東海岸沿いから南下してきた車両と合流することで大渋滞を引き起こす。それでも今年は開花時期がずれたのが幸いし混雑も軽微、無事通過することができた。



河津の町を通過中、ちらりと眺めると川辺に咲き乱れる河津桜に人々が群がっているのが見えた。美しい言えば確かに美しいが大渋滞を乗り越えわざわざ見に来るほどのものなのだろか。よくわからないが先述したように趣味趣向は人それぞれ。自分は整地された桜並木よりは里山の一本桜が好きだ。



ようやく海に到着、いくつかの海岸で波をチェックし最もまともそうな場所で海に入る。1時間前は雪遊び、今度は海で波と戯れる。いつもながら慌ただしい人間だ。波は膝くらいの小波と物足りないものの、これだけ透明度の高い海ならば暇な波待ちもそんなに苦にならない。

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海から上がり冷え切った体を乾かし弓ヶ浜海岸へ移動。浜に隣接する共立湊病院敷地内にある木造校舎のような外観の廃墟、伊豆湊海軍病院跡。非常に魅力的な建物だったものの何年か前、病院自体も閉鎖、廃墟となって以来近付くこともできず門柱の彼方にかすむだけ。解体も間もなくだろうか。


伊豆湊海軍病院跡1402izu01.jpg


駿河湾を眼下に望む伊豆西海岸の断崖上を走る136号を走り続け、ようやく本来の目的地である丁場跡「室岩洞」が近付いてきた。
ところが、一向にそれらしき場所は見当たらずいつの間にか松崎町の中心部まで降りてしまった。普段、ガイドブックや地図に載っていない廃墟や怪しいスポットを探す身。このような観光地、見つからないわけがないとまともに場所を調べてこなかったのが悪かった。街中でUターンし「室岩洞」と書かれた看板をようやく見つけることができた。

現在地は木々の間から眼下に海を望む断崖上の道路沿い。山側のわずかな駐車スペースに停車すると国道沿いガードレールの隙間から急な山道を海へと下って行くと見上げるような岩の壁が迫ってきた。


伊豆室岩洞201401muroiwa001.jpg



ここが丁場と呼ばれるかつての石切場の跡。
奥にぽっかりと口を開ける洞窟のような空洞へと足を踏み入れる。

室岩洞は現在一般公開されているため電灯もわずかではあるが点っており、懐中電灯を持たずとも支障なし。昔訪れた栃木の大谷石採石場ほどの広さはないものの、天井の低さといい生々しい掘削の跡と言いどちらかといえば雰囲気が似ているのは長野県の松代大本営跡。



人工的に掘られた採掘穴は自然の鍾乳洞と違いほぼ直線、直角に順路が進む。そのためか洞窟と言うよりもビルの地下室のようにも感じてしまう。

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伊豆室岩洞1402muroiwa02.jpg



洞内の照明は控えめで雰囲気はよい。
寿命が近いのか点滅する古びた蛍光灯も夕方には自動的に消灯するとのこと。いきなり周囲が闇となった場合、落ち着いて無事戻ることができるか自信はないが、管理人を常に常駐させるわけにも行かないだろう。



ただこの放置具合が逆に操業時を思い起こさせる雰囲気作りの一翼を担っている。観光鍾乳洞や観光坑道のようにカラフルな色彩で下品にライトアップされた洞内を順路に沿って歩かされたら興ざめだ。

近年伊豆の自治体では自然を「ジオパーク」として売り出していこうと考えているようで室岩洞でも「ジオパーク」と書かれた真新しい看板が駐車場に設置されていた。今後、整備が進むと採掘姿を再現した蝋人形が設置されたりと観光坑道のように整備されてしまうのかもしれない。 


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闇に包まれた洞内、そんな場所でも苔やシダを中心とした植物が細々と生息している。
それら植物の生息場所は決まって蛍光灯からの光が届く範囲に限られている。光量の減少とともに次第に減っていく様子がまるで光合成を絵に描いたよう。

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伊豆室岩洞1402muroiwa03.jpg


しばらく闇の中を歩き続けるとわずかな隙間から差し込む外光が見えた。
かつて洞内で切り出した石をここから搬出し真下の入り江に付けた舟へと積み込んでいた場所。石切りは江戸時代から昭和20年代まで続いたとのこと。伊豆の石は柔らかく切り出し、加工が容易なのだと看板に書かれているものの、いくら柔らかいとはいえ石は石。豆腐を切るように切り出せるわけもなく当時の苦労が偲ばれる。


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背をかがめ穴から抜け出ると山の斜面と海の間に出た。石を運び出してたというわりには非常に狭い出入り口、いったいどのように搬出していのだろうか。

一般観光客をターゲットにした観光地にしてはわりとワイルドな室岩洞、非常におもしろい場所だった。

さらに1カ所あった徘徊予定地は帰路の渋滞を心配するあまりそのまま通過。この場所、5年ほど前から挑戦しているがいまだたどり着けず。前回は夏だったため背丈ほどの雑草とクモの巣に阻まれ断念させられた場所。草木が生い茂る初夏までには再訪問せねば・・・。

[了]
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