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●2011年5月某日/GW西進計画.02山陰・中国〜中国山地横断〜

  • 2014/04/09 22:48
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昔書きかけて忘れていた記事続き。
この旅の第一目的であった伊予灘の離島上陸に失敗、
急遽予定を変更し四国から本州へ渡り中国山地を徘徊することになった
無計画な2011年GW旅。


photo:Canon eos7d 15-85mm

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2011.GW4日目

山口県長門市のビジネスホテルで目を覚まし、外の様子をうかがってみると日は差してはいるのだがどうもパットしない天候。部屋のテレビをつけニュースを見てみると昨日に引き続き遙か中国からの黄砂襲来である。

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コントラストの弱い空の下、ツーリングマップルで緑色に塗られた広域農道を探し出しては町と町をつなぎ中国山地を縦断していく。

日本の田舎にひょっこりと現れる「広域農道」。
怪しげな財源とともに無駄遣いの象徴としてやり玉にあげられることも多いこの道。確かに今だまともに機能してることはほとんど見たこともない。しかしその豊富な投資の結果、単に道路としてみるとこれが非常によくできている。山を迂回するという発想がないのかトンネルを掘り丘を削り延々と続く高規格道路。当然信号もほぼないと言って良い。
さらに「農道」と言う名称からか地元以外のドライバーからはメインルートとは思われておらず車の往来もほぼ皆無。並行して走る幹線道路が渋滞気味なのに一本外れた広域農道はガラガラなんてざらである。
費用対効果の面から見れば疑問点の多いが自分のペースで走ることができるすばらしい道。田舎を走行中に「広域農道」の看板を見かけたらぜひ覗いてみていただきたい。



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島根県益田市にある「グラントワ」と呼ばれる県芸術文化センター。
地元の赤色石州瓦を使用した赤い外観が特徴的。先ほどの広域農道のようにこのサイズが必要なのかと言われれば甚だ疑問な面もある巨大な箱物施設であるものの、建築的には非常によくできいる建物だ。この無駄な吹き抜けもすばらしい。日差しが照りつける5月の山陰でひんやりとした巨大空間に思わず長居し、ついでに隣接する美術館も堪能してしまった・・・。

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漁村が点在する穏やかな日本海沿いをひたすら東へと走り続け、空腹を感じると海沿いの木陰に椅子を持ち出しコンビニで買った弁当を食す。

やがて日が傾き始めた。そろそろ車中泊の場所を考え始める時間でもある。いったい今夜はどこで寝ようかと悩みながら車を走らせキララ多岐という日本海を見下ろす道の駅に到着。沖合には波に挑戦するサーファーが見える。今回は車中泊のスペースを作るためサーフボード一式は積んでおらず、うらやましさもあってついぼんやりと眺め続けてしまう。この眺めの良い道の駅で車中泊を、と考えたもののまだ距離を稼げそうな時間帯。もう少し走ってみるか・・・。

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出雲に入った頃、さすがに日も暮れ始めた。イオンで半額シールが貼られた弁当を買い込み温泉につかったあとは車中泊スポットを探し回るのみ。



2011.GW5日目


車中泊歴はもう15年ちかく。8年前は背も伸ばせない小型車で車中泊しながら数ヶ月かけて日本一周をした。今でこそ本屋を覗けば車中泊バイブルなんかが多数棚に並んでいるが当時は北海道を除き車中泊はそれほど一般的ではなく道の駅で寝る車も自分の一台だけなんて当たり前、漆黒の山中の夜なんかは怖い思いもしたものである。

さて、昨夜車中泊にと選んだ出雲市にある「大社ご縁広場 」道の駅でシュラフから起き出し結露で濡れた窓を拭き周囲を見渡すと驚くべき光景が広がっていた。
時刻は早朝6時半。広大な駐車場の7割ちかくを埋め尽くす車の数。なんとこれがみなすべて車中泊なのだ。キャンピングカーのように気合いの入った車から寝るのも大変そうな軽自動車までさまざまな車が勢揃い。トイレの洗面台は洗顔・歯磨きの順番待ちの列。中には駐車スペースを使い机や椅子をならべ朝食を始める連中、洗濯物を干し始める連中までいる。

車中泊人口は昔と比べ明らかに急増中。このような光景が常態化すれば道の駅からの車中泊の締め出し、あるいは有料化も始まってしまうのではないか。自分もその1人なのでえらそうなことを書くつもりはないが道の駅駐車場はキャンプ場ではない。無料で利用させてもらっている立場なのだからせめて駐車場でのテーブルや椅子、洗濯干しはくらい控えるといった遠慮深さがあっても良いのではないか。自分の車中泊の鉄則は「目立たず、いかにも寝ている車という気配は消し、朝と同時に静かに駐車場から走り去る」である。



せっかくなので近くにある出雲大社に行ってみるとこちらでも驚いた。車中泊していた道の駅から15分ほど。8時だというのにこちらもかなりの人出。この出雲大社、15年以上前の夏、山陰を青春18切符で旅した際にやってきたことがある。ところがその際は人の気配がほとんどなく静まりかえった境内を見て有名な割にはあまりはやっていない神社だなと印象を持ったのだが、今回は真逆。早朝8時には駐車場待ちの車列が町中へと伸びているという修羅場ぶり。車中泊しなければとても入れなかったとパッと参拝しあわてて脱出。

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山深い中国山地を走りつづける。どこまで行っても山山山。
時折小さな集落が現れる。すれ違う老人はひょっこり現れた場違いなナンバープレートの車をじっと見つめる。


小学生のころ全国的にブームになった児童文学に「ズッコケ三人組」シリーズというのがあった。その中で異色を放っていたと同時にいまだにトラウマになってしまっていた巻が「ズッコケ山賊修行中」である。

大学生と共に中国地方の山中にドライブに出かけた小学生の主人公三人が、「土ぐも族」を名乗る山賊のような身なりをした集団に拉致されるところから話は始まる。
三人は100人近い「土ぐも」一族と洞窟に密かに築かれたコミュニティで原始的な集団生活を送ることになるのだがこの話の真の恐ろしさは、一見のどかに見える中国地方の村々が数百年にわたり、「土ぐも」の宗教的支配を受け続けているのだ、という設定である。
土ぐも族自体は100人ほどの小規模な集団。しかし周囲の山村で生活を営む人々は子供から老人まで皆「土ぐも」の宗教的影響下に置かれ、彼らはそれを代々受け継がれてきた田舎の風習として何の疑いもなく受け入れている。
ドライブ中、主人公達は村人の手引きによって知らず知らずのうちに「土ぐも」影響下の村へ導かれていた。一旦は脱走を図った三人も「土ぐも族」が中国山地に密かに築き上げたネットワークによって配下の村々に連絡が回り最後は駐在所の警官によって再び連れ戻されてしまう。最も安全だと思われた田舎の駐在所の警察官、実は彼の一家までもが「土ぐも」支配下だったと判明する瞬間は子供心に衝撃を覚えたものだ。

車窓に見える広大な中国山地の山々、時折現れる集落が密かに「土ぐも」影響下になっているのだと思うとぞっとしてしまう。



結局三人は「土ぐも族」が各地の村々へ連絡用として繋げた間部と呼ばれる坑道を利用し脱出に成功するのであるが、地上に出たその場所は広島、岡山県境(作中では稲穂県、岡島県)の山村にある神社裏であった。そんな広島岡山県境の名も無き山中を走っているといつ「土ぐも族」があらわれ拉致されてしまうのか、先ほど車を見つめていた老人に通報されてしまったのではないかと恐怖に怯えてしまうのである。
自分の育った田舎にも得体の知れない宗教的儀式のようなものがあった。定期的に集落の大人達が家に集い神棚に貼ったお札に向かい不思議な祈りを唱え会食するのだ。自分の家の順番になると準備を手伝いながらすき間からその祈りを覗くのであるが子供心にとても不思議な印象が残る儀式だっだ。「土ぐも」教に限らず田舎には土着の謎の宗教の宝庫なのである。

※発行から30年ほどたって「ズッコケ山賊修行中」の続編が出た。当時と違い成長した大人や報道の観点から民俗学的に「土ぐも」を解明していく様子がリアルに描かれる。児童板では触れられていなかった細かい設定が非常に興味深い。ちなみに三人組が土ぐもに拉致されたのは昭和53年とあった。内ゲバと支配下の村々の反乱によってコミュニティが崩壊する悲劇的なラストにいい年をして再び衝撃を受けてしまった。


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日が傾き始めたらスーパーで半額シールが貼られた弁当を見つけ近くで温泉と車中泊ポイントを探すというのがこのところの日課。昔の日本一周の日々を思い出す。

ツーリングマップルでのとろ温泉天空の湯という場所を見つけ電話してみるとまだ営業しているとのこと。天空の湯と唄うだけあってたどりついたその場所は恐ろしく山の中。そのかわり筆舌しがたい露天風呂からの中国山地の大展望を得ることができた。同時にこの山のどこかに潜み今でも国家転覆を狙っているのかもしれない「土ぐも族」を再び思い出してしまうのであった。



2011.GW6日目


寒い。横になった車内で薄いシュラフに震えながら朝を待つ。ようやく眠りにつけたと思っても寒さですぐに目が覚めてしまう。腕時計を見てもまだ午前2時。絶望的な時間である。今回の旅では夏用シュラフを選んでしまったのが致命的な失敗だった。平地での車中泊は問題なかったものの標高が高い中国山地では5月とは言え無謀だった。夜明けが近付くにつれさらに冷え込みは増す山中の駐車場でほとんど眠れぬ夜が明けた。



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旧第二発電所跡。

先ほどまで凍えながら車中泊していた山から尾根をひとつ越えた先にある。まともな道を利用しようと思うと迂回を強いられるため距離を稼ごうと林道を利用。結果時間がかせげたのかはさだかではないが早朝には発電所跡にはたどり着くことができた。
今日は連休最終日。6日間にわたって続いた四国中国徘徊だったが最終日となりのんびりもしていられない。奥にダムを有する川の対岸に見える古びた建物が発電所跡。車を停め周囲を偵察すると、古びた橋があったので橋を渡り草むらをかきわけとたどり着いた。

遠目には大型建造物に見えたため期待し近付いていくも屋根が完全に崩落しているのが目に入りがっかり。さらに崩落した屋根を支えていた木組みが大量に内部へと崩れ落ちて奥へは行き着くことはできなかった。他の発電所廃墟の例に漏れず、タービンに代表されるような高価な機械類などは撤去され閉鎖後は資材置き場として利用されてきたのか農機具や廃材が散乱、残念ながらおもしろい残留物は見当たらなかった。

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発電所跡近隣の山村を通過中、今度は集落の中心の怪しい建物が目にとまる。よく見れば三角屋根の大きな木造平屋が数軒も新緑の木々に埋もれているではないか。これは怪しいとUターン、横の広場に車を乗り入れ草刈り作業をしていた近所の男性に聞いてみるとこの廃屋、想像通り、かなり以前に廃校になったという小学校なのだそうだ。
近年「石膏の廃校」としてあまりにも有名になった学校だがこの時はそんな魅力的な案件だとは知らず、今後の時間を気にして外観だけ眺め立ち去った。


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長かった2011年GWもまもなく終了。四国中国を脈絡無く徘徊してきたもののそろそろ自宅への帰り方を考えなければならない。とはいえ渋滞の名所が点在する中国道上り線へこのまま入ってしまうなんて考えただけでも恐ろしく、結局中国道からはずれ山間部の細道をひたすら東へ走り続ける。



人気の無い細道は山を延々と登りやがて若杉峠にさしかかる。これを越えれば地の利に明るい関西圏。
その途中現れた小さな集落。標高からか5月のGWというのに、まだここだけは春まっさかり。桜や菜の花がポカポカと暖かい陽の下、咲き乱れる桃源郷の様な場所だった。


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そんな場所にたたずむ小さな廃分校。
こぢんまりという言葉がこれほどまでに合う物件もめずらしい。小さな村落、小さな校庭にポツンと立つ小さな木造校舎。北側の狭い校庭は原っぱとなり一面タンポポが咲き乱れている。神社の裏手に車を停め歩いて行くと裏手には重機、校舎正面には工事関係者らしき車も置かれている。不安がは的中、この分校この後、解体されてしまったという。

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宝塚渋滞を大きく迂回しやってきた福知山郊外のスーパー駐車場で弁当を食べながら自宅へと向かう今後の予定を改めて考える。携帯の渋滞情報を眺めると名神高速上り線の大阪京都滋賀間はUターンの車でみるみる赤く染まりつつある。おそらく夕刻にはこの赤い点が繋がり大渋滞になることは間違いない。
即座に名神高速の迂回を決意。現在地の京都府福知山から一旦日本海側の福井県に向かうことにする。琵琶湖を大きく北へと迂回し敦賀ICから北陸道に乗り直接米原に出るつもり。



17時。ついに敦賀ICに滑り込む。すでに電光掲示板には上り八日市付近渋滞30kmの表示が。おそらく夜半にかけてさらに伸びることは間違いない。若狭湾まで迂回して良かった。途中5kmほど渋滞した他は拍子抜けするほど順調な帰路で雨と黄砂に泣かされた2011GWも終わりを告げた。

[了]
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