FC2ブログ

●2015年3月某日/林道果ての分校跡

  • 2015/04/04 22:37
  • Category: 廃校
1503yamahaitop.jpg

南アルプス山系と身延山系に挟まれた山間部。
その中心からさらに分け入った山中の集落に残るという分校跡を訪れた。
険しい山肌を縫うように走る古びた林道をひたすら走り続けついに目的の集落が姿を現した。

photo:Canon eos7d 15-85mm


冷え込んだ春の日、南アルプスから流れ出す渓流に沿って山中を走り続ける。やがて現れた分岐点で支流方面へと進路を変え、断崖沿いに進んで行くと巨大なダム堰堤が灰色の姿を見せた。堆砂によって浅瀬が続く静かなダム湖の水際に作られた細い道を上流へ。

雨畑ダム1503yamaClosedschool01.jpg


ダム湖畔の集落を抜けると、道は古びた林道へと変わった。この林道が峠を越え隣県と繋がる井川雨畑線、通称雨畑林道。地図上では繋がっているとはいえその実態は通行不能状態。
路肩に現れた看板には「がけ崩れ」「路肩決壊」「路面陥没」とありとあらゆる注意喚起が張り出されている。さらにその脇には通行止めと書かれた文字が。唖然として車を停めよく読めばゲートまでは通行可能のようだ。しばらく横の空き地に停車し様子を眺めていると林道へ入っていく地元車が現れた。ゲートとやらがどこに現れるかはわからないがしばらくの間は進むことができそうなので後に続いて林道へと入った。


井川雨畑線、通称雨畑林道1503yamaClosedschool03.jpg
井川雨畑線、通称雨畑林道1503yamaClosedschool04.jpg
井川雨畑線、通称雨畑林道1503yamaClosedschool02.jpg


林道は次第に高度を上げていく。先ほどまで真横を平行していた川はいつの間にか落差数百mを隔てた眼下へと離れていた。深い谷間を挟んで奥へ奥へと続く林道、山を包む雲の中へと消えてしまいそうな天空の道。路面には至る所細かい落石が散らばり架橋は老朽化しているものばかり。予め調べておいてなかればこの先に集落があるとはとても思えないような道のり。





曲がりくねった断崖上の林道をひたすら走り続けていると前触れもなく民家が現れた。これが事前に調べておいた某集落と思われる。心配していたゲートが現れることなくとりあえずは集落まで到達することができた。
見たところ戸数は5棟ほど。急傾斜の山肌にへばりつく典型的な山岳集落、住民もおそらく高齢者ばかりだろう。わずかな平地には防火水槽が設置され、民家や耕作地は斜面に作られている。悪路とはいえ一応は車の往来可能な林道ができる以前はどのようにして下界との繋がりを保っていたのだろうか。

集落が現れたということは廃校も周囲にあるに違いないと車を最徐行させ森の中や民家の間を見渡しながら進んでいく。途中崖下の森へ続く怪しい小道が現れたもののそれらしき建物は見ることができずぎ、何も見つからないまま集落を通過してしまった。そんなはずはない。しばらく進んだ先のわずかな路肩に車を停め、徒歩で集落へと戻る。すると道路直下の畑で作業している地元の方と出会うことが出来た。



その方が指差す方向をよく眺めると、ようやく見つけた!写真下部に写っているのがおわかりだろうか。枯れ果てた森のにわずかに見えるカムフラージュされたかのような屋根。車からは見えないわけだ。場所は先ほど通過した林道から斜面を下ったあたり。


山中の廃校1503yamaClosedschool06.jpg


怪しい小道はやはり廃校入口だったようだ。車で戻れば早いが小道前のスペースは眼下の雨畑渓谷で釣りをしている釣り人らしき数台の車が停車されていた。

車の往来はほぼないとは言え林道上に車を停めておくわけにもいかないので、徒歩で廃校へ向かうことにした。
先ほどの方の話では集落下から廃校に直接繋がる道があるとのこと。言われた通り斜面を降りると行く手を阻む枯れ草をかき分け進んで行く。次第に廃屋が近づいてくる。


1503yamaClosedschool08.jpg
1503yamaClosedschool07.jpg


校庭らしき空き地が森の中に現れた。山岳地帯では貴重であろう平地を贅沢に使い予想以上に広い。
その奥に建つのは平屋の建物が廃校となった分校校舎。



校舎は、建物を形作る正面壁面のほとんどが崩れ落ちたことによって内部が剥き出しという無残な状態となっていた。二つの教室跡はまるで能舞台のように校庭から丸見え、外と中を遮るものはわずか数本の柱だけとなりもはや建物とは言えない状態。風雨がそのまま吹き込むこの廃校、倒壊するのも時間の問題だろう。

校舎自体は2つの教室とそれに面した廊下で構成されているだけのシンプルな構造。学校だったことを偲ばせるものはかろうじて壁と屋根が残る廊下側に棄てられているわずかな教科書、黒板ぐらい。


山梨県の廃校1503yamaClosedschool09.jpg
山梨県の廃校1503yamaClosedschool12.jpg
山梨県の廃校1503yamaClosedschool11.jpg
山梨県の廃校1503yamaClosedschool10.jpg
1503yamaClosedschool18.jpg
1503yamaClosedschool20.jpg

1503yamaClosedschool13.jpg


草木が枯れ果て彩度のないこの季節、寒々しい雰囲気の廃校だが訪問が新緑の季節ならば印象も大きく変わっただろう。あと一ヶ月もすれば木々も芽吹き校庭に木漏れ日が降り注ぐさわやかな雰囲気となるに違いない。
何か見落としたものはないだろうかと周囲を見渡してみると教員住宅らしき二棟の廃屋がたたずむ背後の森の中になにやた人影のような不気味なものが見えた。


近付いてみるとその正体は苔むした数体の像だった。おそらく当時学校に通っていた子ども達が制作したものだろう。全体のバランスも悪くなく子どもが作ったにしては妙にリアルだ。遠目に一瞬本当の人影かと思ってしまったのもうなずける。

山梨県の廃校1503yamaClosedschool19.jpg
山梨県の廃校1503yamaClosedschool14.jpg
山梨県の廃校1503yamaClosedschool16.jpg
1503yamaClosedschool15.jpg


厚い苔にびっしりと覆われた像は以前海外の遺跡で見た風化した石像のようだ。

この苔の人、どうやら本来は塗装されていたよう。しかし陽も射し込まない森の中で40年を越える年月を経て次第に苔に覆われていったのだろう。今となってはこのような惨状ではあるが、かつて子ども達が一生懸命作った石像を不気味だというのは撤回させてもらおう。

石像裏には枯れ葉に覆われた道らしき空間がある。うっすらと残る踏み跡を登っていくと先ほど見た釣り人の車が停車されている林道に突き当たった。やはりこちらが正規の入口だった。子ども達は毎朝彫刻の脇を通り通学していたのだろう。



林道に復帰、今度はアスファルト上を歩き集落へ戻ってきた。ふと正面を見るといつやってきたのか道路の真ん中に一匹の犬いることに気がついた。茶色の犬は吠えることなくこちらをじっと見つめている。野犬ではなさようだが犬というものは自分がもっとも苦手とする動物。気を引く餌になるようなものも持ち合わせていないし先ほどの古老の姿も既に見えない。

1502yamanashihai.jpg


困った。この道を通らねば奥に停めた車には戻れない。というわけで再び斜面の山道を下り犬を大きく迂回、車へと復帰するはめとなった。

地図を見れば林道奥にさらに他の集落があるとのこと、さらに奥へと探索を続ける。しかししばらく進んだところで崩落通行止めと書かれた看板によって林道は封鎖されていた。崩れ落ちそうな断崖に張り付く古びた林道をひたすら走り続けたアクセス路が印象に残る廃校だった。

[了]
スポンサーサイト

Pagination

Trackback

Trackback URL

http://lost2011.blog.fc2.com/tb.php/770-7b209217

Utility

プロフィール

hou2san

Author:hou2san
●なにかあればコチラまで。↓
場所を教えろよなんてことでもいいです。
rh5t-nkym@live.jp

最新記事

最新コメント