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●2015年8月某日/北の果て青森県竜飛崎の夏.01〜日本海北上〜

  • 2015/10/03 22:35
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青森県の果て津軽半島先端、竜飛崎。
2015年夏は荒々しい断崖が続くこの竜飛崎で過ごす事となった。
今年の盆休みは台風崩れの低気圧によって全国的に悪天候となったところが多かったと聞く。
自分もこの旅一番の心配事は天気だったものの竜飛に滞在していた間、
奇跡的に津軽半島先端だけがぽっかりと雲の切れ間となり幸い好天に恵まれる事ができた。


photo:Canon eos7d 15-85mm

涼しい北国ならば車中泊で寝苦しい夜を過ごす事もなかろうという安直な理由から、夏になると北を目指すのが毎年の恒例となった。今年は東北の果ての青森県、その果ての竜飛崎にある某キャンプ場に数日間滞在する事となり、例のごとく東北道のお盆渋滞を回避すべく日本海に沿って北上していく。新潟、山形、秋田、車を停めるのはコンビニでの食料調達程度、ひたすら走り続けいきなり青森県。



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青森県沿岸を走る五能線の無人駅驫木駅。海際に建つこじんまりとした木造駅舎にひさしぶりに立ち寄った。何度も観光ポスターを飾ったその知名度ゆえか、この駅を訪れる人は多い。とはいえ駅舎には観光客向け看板、のぼりをはじめとする無駄な装飾は皆無。あくまで駅は地元のもの、無駄に観光客にこびないシンプルな素っ気なさが魅力のひとつ。冬の厳しさとは対照的に夏の日本海は青く静かに凪いでいた。

五能線の無人駅驫木駅1508aomori0101.jpg
五能線の無人駅驫木駅1508aomori0102.jpg
五能線の無人駅驫木駅1508aomori0103.jpg




青森県を形成する二つの岬、津軽半島と下北半島。北海道への最安ルートにあたる大間港有する右手の下北半島は数年に一度のペースで訪れていたものの、左に伸びる津軽半島を訪れるのは本当に久しぶり。
その津軽半島先端にあるのが目的地竜飛崎。演歌の影響か「北の果て」の代名詞ともなった竜飛崎だが、実際の本州最北端は下北半島大間崎、地図で見比べてもそれなりの差があることがわかる。とはいえどちらの岬が魅力的かと問われれば、平坦な土地に民家や土産物屋が密集する大間崎ではなく荒々しい断崖絶壁が続く秘境感溢れる竜飛崎ではないか、と個人的には思う。
津軽半島ツーリングマップ1508touhokumap1.jpg


その竜飛崎有する津軽半島入り口鯵ヶ沢。手元の地図に書かれた道は赤い太文字で力強く明記された国道、そして少し離れた場所を平行して走る広域農道。どちらも竜飛へのアプローチ、地図はもちろんカーナビからも国道を利用するよう指示され思わずそちらへ足を踏み入れそうになる。しかし自分はこのような場合それらを無視し必ず広域農道を選択する。



日本の田舎によく現れる「広域農道」。その実態は農道と呼ばれるその名とはほど遠く、まるでバイパスのような高規格道路。費用対効果として考えればまったく謎の道なのだが、単純に道路としてみると走りやすい事この上なく、さらには地図やgooglemapなどにもまともに掲載されないためか交通量も極端に少ない。

屏風山広域農道1508amomori.jpggoogleストリートビューより


さて毎回利用するこの屏風山広域農道は竜飛を目指す方におすすめルート。信号も現れない直線道路がひたすら続くまさに広域農道の代名詞。同じく竜飛へのルートである主要道339号や平行する県道と比べても交通量はほぼ皆無。あっという間に津軽半島を走り抜けた。


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やがて広域農道は終わりを告げ国道に復帰、再び日本海に出た。ここからは海と断崖の間のわずかなスペースに張り付くように作られた快適な道を走ることになる。

津軽半島青森県竜泊ライン1508aomori0104.jpg
津軽半島青森県竜泊ライン1508aomori0105.jpg


高台からここまでの道のりを振り返る。先ほどまでの平野が消え去り山が迫ると、いよいよ北の果てをイメージさせる秘境感が増していく。道路は海から離れると竜泊ラインと呼ばれるつづら折りの急傾斜を上り続けついにはるか彼方に目的地が見えた。涌き上がる夏雲の下、緑に覆われる丘陵先端に見える白い建物が竜飛岬灯台。津軽最先端まであと一息。


津軽半島竜泊ライン眺瞰台から竜飛岬1508aomori0106.jpg




竜飛岬を初めて訪れたのは今から約20年ほど前のこと。車はもちろん運転免許もなかった当時、津軽線、そして三厩から路線バスを延々と乗り継いで訪れた。しかも季節は何を狂ったか冬。ふもとの集落から階段を上り訪れた竜飛岬は人っ子一人いない寂しい場所だった。茶色に枯れた草木、どんよりとした灰色の曇り空、舞い散る粉雪。シャッターを閉ざしたままの土産物屋。まさに演歌の世界を表現したかのような、心底凍えそうな竜飛岬で吹き荒れる強風に翻弄されながら早く帰りたいと感じた事が印象的な寂しい場所だった。



うってかわって真夏の本日。岬周辺は照りつける日差しや夏空が作り出す彩度の高い光景が広がっている。お盆休みということもあってか全国津々浦々のナンバーの車、バイクがぎっしり停められた駐車場。その後何度となく竜飛岬を訪れてはいたもののここまで混雑している岬ははじめてのこと。もちろん自分もそれら観光客のひとり、ぞろぞろと灯台横の坂を上りこれまた込み合う展望台に到着した。

目の前に広がるのは津軽海峡をにらむ竜飛警備所のレーダーサイト、鉄条網。それら建造物の隙間から水平線に北海道の大地を望むことができる。夏の津軽海峡は大荒れだった真冬の光景とは対照的に、積雲が白い影を映す穏やかな水面が続いていた。

青森県竜飛岬津軽海峡展望台1508aomori0107.jpg
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正確には実際の津軽半島最北端はこの真下にある帯島なのだが今回は立ち寄らず、今夜の宿泊地であるキャンプ場、竜飛崎シーサイドパークへ向かう事にした。現在地、竜飛崎灯台は海を遥か眼下に見下ろす断崖上、一方このキャンプ場は海際に建つため急坂を降りる必要がある。海に向かい続く岬裏手の一本道を下り到着。午後3時着。いやあ走った・・・。


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とりあえず管理棟でチェックイン、車から荷物を運び終わりようやく落ち着ついて景色を眺める余裕ができた。テント場の目の前は日本海。巨岩が転がる荒々しい断崖と草原のわずかなスペースに張り付くように作られたこのキャンプ場、なかなか魅力的なロケーションだ。


竜飛崎シーサイドパークキャンプ場1508aomori0109.jpg


よく見れば岩の隙間や沖合でシュノーケルを楽しむ人々の姿も見受けられる。自分も岩を伝い海中を観察したり生き物を探したりと適当に磯遊びをしながら日が暮れるのを待つ。とはいえ季節は8月お盆、まだ日も高く時間をもてあまし今夜の食材探しをかねながら適当に津軽半島を走ることにした。


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高野崎キャンプ場1508aomori0111.jpg


ついでに他の近隣キャンプ場も偵察。津軽半島東海岸、高野崎にあるキャンプ場は赤と白のボーダーに塗装された灯台が印象的な今回のキャンプ候補地のひとつ。しかしこちらはテントの数が非常に多い。駐車場を見ればバイクツーリングが目立つのはこのキャンプ場がツーリングマップル東北版に写真入りで大きく掲載されている影響だろうか。それにしても大勢のキャンプ客、あるいは車が走り抜ける幹線道路沿いといった立地といい、どうも落ち着かない。人里離れ閑散とした竜飛崎をキャンプ地に選び正解だ。

このツーリングマップル、90年代のリング綴じ時代からのユーザーだったものの、兼ねてからから使いづらいと訴え続けていたのが全容をつかむための広域地図がまともに機能しないという致命的な欠陥。消滅したり、あるいは折りたたみ式になったりと右往左往した結果皆の訴えが出版社に届いたのか?今回の改訂で広域図が復活、ようやく地図としての機能を果たすようになった。





はじめてこの津軽半島を訪れた際驚かされたのが道路沿いにある建物のほとんどが古びた板張り外壁だったこと。色が落ちくすんだそれら板張り外壁に張られているのは黄色の筆文字で「神を信じよ」と書かれたおどろおどろしいキリスト看板。曇天の冬空の下、狭い集落内を走る路線バスの曇った窓から見えるそんな風景に新鮮さと秘境感を感じた事をよく覚えている。津軽の光景を代表するようなこれら板張り民家だったが、訪れるたび次第に数を減らしいわゆる「普通」の民家が増えてきたように感じる。

そんな津軽半島東海岸を今別辺りまで南下し、ようやくのことで見つけたコンビニで夕食を買い込むとすでに夕刻。帰路は主要道を外れあじさいロードと書かれた交通量皆無のバイパス路を選択したのでわずかの時間で再び竜飛崎にへ帰還した。

竜飛崎の夕焼け1508aomori0114.jpg



さすがにこの時間ともなると竜飛崎には観光客の姿もほとんどなく駐車場や展望台は静けさに包まれていた。断崖の上から暮れ行く日本海と津軽海峡を見下ろす。漁の最中なのだろうか、逆光きらめく波間でゆっくりと揺られ続ける小さな漁船が大海原に一隻。

竜飛崎の夕焼け1508aomori0112.jpg
竜飛崎の夕焼けシーサイドパーク1508aomori0113.jpg


こちらは岬先端から少し離れた場所から津軽半島西海岸を望む光景。集落が密集する東海岸にくらべ西海岸は複雑に入り組む断崖が海に落ち込む荒々しい光景が延々と続く。観光客が必ず訪れる竜飛崎展望台から少し離れているためか、この場所を訪れる人は少ないものの竜飛崎の風景ならばレーダーサイトが視界を遮る北端展望台よりもこちらが好きだ。

沈み行く夕日が地形の立体感をより際立てる。真下に並ぶバンガローはこれから三日間を過ごすキャンプ場。西日に照らし出された草原、断崖、海に落ち込む斜面に張り付く一本道から感じる不思議なデジャブ。そうだこの景色、10数年前の夏の夕刻、礼文島西海岸で眺めた光景にそっくりなのだ。



雄大な光景を見下ろすこの場所には多くの石碑が立ち並んでいる。足下を通過する青函トンネル建設に従事した作業員の慰霊碑はじめ、歌の歌詞、あるいはかつて要塞でもあったのか大東亜戦争とかかれた碑まで千差万別。訪れる人もほとんどいないこの高台でこれら石碑郡は今日最後の日を浴びオレンジに染まっていた。



竜飛崎シーサイドパークキャンプ場1508aomori0115.jpg
竜飛崎シーサイドパークキャンプ場1508aomori0116.jpg


キャンプ場に戻り管理棟で聞いてみると高台にあるホテル竜飛で温泉に入る事ができるという。入浴料は500円。しばし考えたもののたった500円を節約しキャンプ場併設の100円コインシャワーで済ます。数分間お湯が出るだけのものだがこれで十分。夕食は先ほど30分あまり走り今別辺りで見つけたサークルKで購入した180円カップ焼きそばとおにぎり。旅に出たとたん節約生活に変わるのは昔から変わらない癖。




あわただしかった一日が終わる。水平線が積乱雲で埋まる夏らしい夕方。やがて日本海に太陽が沈み一日は終わった。
台風崩れの低気圧接近によって雨予報だった本日、本州北海道は予報通り大雨に見舞われていたと聞くが、自分が行く先々では幸いにも晴天に恵まれた。衛星写真を眺めると北に突き出た津軽半島先端部だけが奇跡的に雲の切れ間となっていた模様。とはいえ明日も東北は雨予報、どうなることやら。


竜飛崎シーサイドパークキャンプ場夕焼け1508aomori0117.jpg
竜飛崎シーサイドパークキャンプ場1508aomori0118.jpg

日没から20分、幻想的な色が広がったのもつかの間、空は急速に暮れていった。静まり返った海の上に次第に星が浮かび上がり津軽半島最北のこの地で一日目の夜は更けていく。

[続く]
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